第583話 遅れてきた縁?

どんなに輝いていても、彼女の目には透明にしか映らなかっただろう。まして当時の彼は大学生の若造に過ぎなかったのだから……

寧夕は瞬きをして、その話し方からすると、五年前の彼女が蘇衍に夢中だった頃のことのようだった。

しかし、彼女は確かに席世卿に会ったことがあるという記憶がなく、どんな状況で彼が自分を見かけたのか、五年経った今でも覚えているというのが気になった。

「そうなんですか?いつのことですか?」寧夕は何気なく尋ねた。

「五年前、あなたの十八歳の誕生日パーティーです」席世卿は答えた。

寧夕はワイングラスを持つ手が揺れた。

結局、それは彼女にとって最も惨めな一日だった。

席世卿は回想するような表情を浮かべ、ゆっくりと口を開いた。「ご存知の通り、私のおじいちゃんとあなたのおじいちゃんは仲が良かったので、あの誕生日パーティーに私も出席しました。覚えていますが、その時あなたは白いワンピースを着ていて、初めてあなたを見た時の印象は非常に鮮烈で、まるで...生まれながらの姫のようでした...」

寧夕は席世卿の形容を聞いて、何と言っていいか分からなかった。「はぁ、姫ですか...明らかに席さんの記憶は完全ではないようですね。あのドレスは偽物で、後で人前で暴かれました...」

席世卿は彼女の言葉を優しく遮った。「本物か偽物か、それが重要でしょうか?醜いアヒルの子がアヒルの群れで生まれても、それは白鳥なのです。何があってもそれは変わりません」

それは彼の人生で最も印象に残る一日だった。初めて一目で少女に恋をして、そしてその少女がいじめられるのを見ながら、自分には何もできなかった...

おそらくあの時以来、彼は二度と寧家には行かなくなった。

寧夕はその言葉に心を動かされ、瞳が次第に深くなった。「うーん、席さんは私が想像していたよりも、多くのことをご存知のようですね?」

席世卿はようやく自分が少し取り乱していたことに気付き、言うべきでないことを多く話してしまったことを悟った。「申し訳ありません。当時偶然に聞いてしまったのです」

常に彼女を目で追っていたため、聞くべきでないことまで耳に入ってしまったのだ。

知ってしまった後、彼女の境遇にますます心を痛め、自分の無力さを更に憎んだ...