「別に大したことじゃないわ。知ってしまったものは仕方がないわ」寧夕は無関心そうに肩をすくめた。
ただ、席世卿のこの言葉によって、心の中は少なからず動揺していた。
彼女は思いもしなかった。自分が最も不幸だと思った日に、世界中から見放されたと思った日に、知らないところで、彼女の味方をしてくれる人がいたなんて。
それは彼女の心に言い表せない感覚を与えた。まるで救われたような感覚で、この世界は、そんなに耐え難いものでも、そんなに救いようのないものでもないのかもしれない……
うーん、さすがはほとけさまの生まれ変わりのような男だわ!
この衆生様を救うスキルは本当に素晴らしいわ。
席世卿は彼女のその言葉を聞いて、ほっと息をついた。「あの時……私はずっと後悔していました……申し訳なく思っていました……あなたを助けられなかったことを……もし今、何か必要なことがありましたら、どうか私に教えてください。火の中水の中、何でも構いません」