第576話 お兄さんのことが好きなの？

部屋に入ると、寧夕はまず坊ちゃんを寝室に連れて寝かせ、それから冷蔵庫を開けて食材と鍋の出汁を探した。

坊ちゃんのおかげで、坊ちゃんが来てから、彼女は特別にたくさんの食べ物を買っていた。冷蔵庫には様々な食材や調味料が満載で、火鍋を作るのは全く問題なかった。

陸霆驍は自然な動きで寧夕の手から野菜を受け取って洗い始め、寧夕は彼を見て、袖をちょっと捲ってあげた。

陸景禮は……陸景禮は自分が場違いだと感じ、大人しくリビングでテレビを見ていた。

すぐに食材の準備が整い、火鍋の出汁がぐつぐつと音を立てて食欲をそそる香りを漂わせ、思わず手が動いてしまう。

陸景禮はもう我慢できず、矢のように飛びついて、テーブルの上の白湯と麻辣スープの二つに分かれた鍋を見て少し驚いた。「あれ、小夕夕ちゃん、二色鍋にしたの？」

「お兄さんは辛いものが食べられないから」寧夕は箸を並べながら何気なく答えた。

「へぇ～」陸景禮は箸を噛みながら、目をきょろきょろさせて、「ねぇ、小夕夕ちゃん！もしかして兄さんのこと好きなの？」

「げほげほげほ……」寧夕は水を飲んでいて思わず咳き込み、舌を噛みそうになった。慌てて陸霆驍の方を見て、「何言ってるの！！！」

「だって兄さんにこんなに優しいんだもん！」陸景禮はぶつぶつと言った。

「上司に取り入らない部下なんているの？その妄想やめてくれない？次にBOSSに対する不純な気持ちがあるなんて言ったら、ぶん殴るわよ！」寧夕は潔白を証明し、それから媚びるように陸霆驍に箸を渡した。「BOSSさま、彼の戯言は聞かないでください！私の忠誠心は天地が証人、日月が表すほど、絶対に不純な企みなんてありません。」

陸霆驍は箸を受け取り、彼女を見つめて言った。「あってもいい」

陸景禮：「ぷっ……」

寧夕：「……」

しばらく夢中で食べた後、陸景禮は満足げにお腹をさすりながら、やっと噂話をする元気が出てきた。「小夕夕ちゃん、一つ聞いていい？」

「何が聞きたいの？」

「あのさ……蘇衍のことを……どう思ってるの？」

寧夕に食材を取ろうとしていた陸霆驍の手が少し止まった。

「どうって、何がどうなの？」

「もう、まだ未練があるのかってことだよ！わざわざそんなはっきり言わせなくても！」

寧夕は彼を横目で見て、「そんなことあると思う？」