寧夕が江牧野とこんなに長く話しているのを見て、陸霆驍は眉をひそめた。「薬の時間だ」
「あっ、はい!すぐに!」寧夕は電話を切った。
陸霆驍に携帯を返そうとした時、彼女は目を見開いた。
これは……!
陸霆驍の携帯の待ち受け画面が、前回遊園地で撮ったプリクラだったなんて!
あんなふざけた写真、陸霆驍は彼女たちに合わせただけで、本当は好きじゃないと思っていたのに……
ああ、大魔王がこんなに可愛いなんて……
彼女もこの写真を待ち受けにしたかったけど、職業柄それは無理。目立ちすぎて余計な噂を呼んでしまう。
でも、今の待ち受けも気に入っている。とても意味のあるもので、坊ちゃんが初めて描いてくれた肖像画なのだ。
今まで何度も、誰かにどの大家に描いてもらったのかと聞かれ、紹介してほしいと頼まれたことがある。
でももちろん、坊ちゃん先生を紹介するわけにはいかない!
陸霆驍は彼女が自分の携帯の待ち受けを見ているのに気づき、珍しく落ち着かない表情を見せながら、携帯を取り上げ、薬を渡した。
寧夕は大小さまざまな薬を見て頭を抱えた。「どうしてこんなに多いの?全部飲まないといけないの?」
横で盆を持っていた看護師が急いで説明した。「陸夫人、全部お飲みいただかないと。まだ微熱があって、傷口も重度の炎症を起こしていますし、それに……」
看護師はペラペラと説明し続け、要するに一つも欠かせないということだった。
寧夕は助けを求めるように陸霆驍を見た。
しかし、陸霆驍の表情には妥協の余地がなく、むしろ厳しかった。「薬を飲みたくないなら、次は無茶をするな」
寧夕は目をパチパチさせた。「だんな様~」
陸霆驍は「……飲み終わったら外に連れて行ってやる。庭園に梅花鹿がいるぞ」
寧夕は目を輝かせ、すぐに素直に薬を飲んだ。
薬を飲むのは苦手だけど、わがままを言って飲まないほどではない。ただ……陸霆驍の温もりに甘えたかっただけ……
彼の前でだけ、自分の弱さとわがままを完全に解放できる……
横にいた看護師は二人を見て、羨ましさで涙が出そうだった。なんて甘やかされているんだろう!
まるで娘を甘やかすみたい!
普段あんなに冷たい陸さんが……信じられない!
あの電話の後、寧夕は告白の仕方について考え始めた。