相手の何気ない表情を見て、唐夜は両手を固く握りしめ、指の関節が白くなって軋むような音を立てた。レンズの奥の普段は冷淡な瞳には、怒りの炎と僅かな痛みの色が宿っていた。「お前……」
唐夜の傷ついた眼差しを見て、唐浪の表情が微かに動いた。すぐに彼の視線を避け、目を閉じてから口を開いた。「先輩、勝負しましょう。勝った方が小師妹を連れて行く。どうですか?」
一瞬の死のような沈黙の後、唐夜はついに答えた。「いいだろう」
傍らで、状況が飲み込めていない寧夕は完全に呆然としていた。
な...なんてこと...
二番目の先輩が組織を裏切った?
じゃあ、誰に寝返ったの?
いや、さっきまで二番目の先輩は何の問題もなく大先輩を気絶させて彼女を救おうとしたんだ...
もしかして大魔王の配下になったの?
まさか?