宋くんは銀行カードの残高を見たとき、自分の目を疑った。何度も桁数を数えて、小数点を2つ、いや3つ間違えたのではないかと思った。
茂盛グループが最も裕福だった時でさえ、会社の流動資金がこれほどなかった!!
薛家はもう金がないと言われていたのではないか?!
金しか残っていないくらい貧乏なのだろう!
その金額は、口に出せないほどで、心の中で二度つぶやいてからやっと言えるほどだった……
「何なの?」
薛貴は我慢できずに口を開いた。「足りないわけじゃないなら、他に出費があるってことか?兄さん、宋くんが焦って言葉が出ないほどだよ。早く領収書を受け取ったほうがいいんじゃないか!」
宋くん:「…………」
薛晟は眉をひそめ、ため息をつきながら立ち上がった。「何か困ったことがあるなら言ってくれ。私は耐えられる。」
まさか研究室でまた問題が起きたのではないだろうか?
そうなると、また少なくとも数百万元が吹っ飛んでしまう。
どこからその金を工面すればいいのか?仕方がなければ家を売るしかないか?それとも車を売るか?葉儷と薛夕に申し訳ない。
薛晟の心に無力感が湧き上がってきたとき、宋くんがゴクリと唾を飲み込んで言った。「カードの中のお金が多すぎるんです。」
薛貴:?
薛晟:??
兄弟二人とも幻聴を聞いたかのように感じ、二人そろって宋くんを見た。
宋くんの表情はまだぼんやりしていて、今まで人生でこれほどの金を見たことがないかのようだった。
薛晟はちょっと咳をして、慎重に薛夕の銀行カードの中の金を計算した。各科目の賞金以外に、試合で勝った賞金もあるはずだ。
そうだ、演技の報酬もまだ計算に入れていなかった……
ちょっとした脇役だから、せいぜい数十万元くらいだろう。そして賞金も最大で100万元ほど……こう計算すると、夕夕のカードには本当に100万元くらいあるかもしれない。
確かに多いね!
でも宋くんをこれほど驚かせるほどではないだろう?彼女自身の年収も100万元あるのに!
薛貴も明らかに心の中で計算をしていたようで、笑いながら言った。「兄さん、この特別秘書を見てください。視野が狭すぎて、ちょっとした金額でこんなに驚いているなんて。宋秘書、言ってみてください。いくらあるんですか?」