第337章 薛夕薛夕、世界一!

トールは非常に興奮し、切望するような目で薛夕を見つめた。監視カメラの映像はすでに見ていた。目の前にいるこの人物こそ、彼の知恵の女神だった。

トールは興奮のあまり手が震えていた。彼女に話しかけたくて仕方がなく、こちらに二、三歩歩み寄った——しかし、梁甘に止められてしまった。

彼女はトールが近づくと、謝瑩瑩と薛夕が厚かましく挨拶してくるのを恐れていた。そうなれば、これだけの人の前で、紹介したくなくても紹介せざるを得なくなる。彼女は謝瑩瑩と薛夕に自分の光を奪われたくなかった。

そこで、梁甘は言った。「教授、挨拶に行かない方がいいでしょう。もし学生たちが教授を見かけたら、興奮して試験の気分に影響が出るかもしれません。」

トール教授は一瞬戸惑った。

そうだ、彼が女神に会いに来たのは、女神の試験に影響を与えるためではなかった。そこでトールは微笑んで言った。「わかった、君たちの試験が終わるまで待とう!」

梁甘はうなずいた。

遠くから、みんなはトール教授を期待の目で見つめていた。教授が近づいて何か言うと思っていたが、梁甘が何か言ったらしく、トール教授は梁甘と一緒に遠くの席に座ってしまった。

謝瑩瑩はこっそりトールを観察し、薛夕に話しかけた。「夕さん、この教授、年齢がかなり高そうだね。手が震えてる。パーキンソン病じゃないよね?」

薛夕:「…………」

彼女は何も言わなかったが、すでに慣れている謝瑩瑩はまた口を開いた。「それに、さっきからずっと私のことを見ているような気がする。気のせいかな?」

「…………」

「教授が梁甘と座って、二人で話してる。関係がすごくよさそう。この梁甘って人脈がそんなに広いの?まあ、そうだよね。彼女は当時、満点まであと1点だったんだから!実を言うと、私も彼女を羨ましく思ってる。本当に凄いもの。IMOに参加した人の中で、大学入学前にスカンフォードに合格した人なんているの?」

謝瑩瑩がぺちゃくちゃと話す中、薛夕はトールを観察する視線を引き戻した。なぜか、さっきトールが自分を見ていたような気がした。

きっと、この赤い髪が目立ちすぎるからだろう。

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現在の国際大会IMOは競技大会ではあるが、試験でもある。そのため、これほど多くの国からの学生たちを6つの試験会場に分けた。彼ら6人の受験生は別々の会場に分かれることになる。