第338章 どうしてもめがみと話をしなければ!

梁甘はずっと、トールがここに来た本当の目的を推測していた。

  スカンフォードの化学部長として、誰に会いたいと思っても一言で済むはずなのに。

  それに、学生たちが試験を受けている間、梁甘はトールに近づいて話しかけようとしたが、トールは「話しかけないで、子供たちの試験の邪魔になる」という表情を見せるだけだった……

  4時間半。

  学部長ってそんなに暇なのか?

  この時間があるなら、もっと研究に励んだ方がいいんじゃないか?

  ようやく学生たちの試験が終わり、みんなが順々に外に出てきた。梁甘はトールを支えながら出口に立ち、誰を待っているのかわからなかった。

  しかし、トールはあまりにも有名で、西洋の顔立ちをした数人の学生が彼を認識し、話しかける勇気はなくても挨拶だけはした。

  トールはにこやかに頷いて応じ、梁甘はますます不思議に思った。

  トールがここにいるのは、薛夕を待つためだった。

  彼は何とか親しくなる方法を考えていた。だから、試験を終えた受験生たちが梁甘のところに集まってくるだろうと思い、そのとき薛夕と話せるだろうと考えていた。

  他の学生たちは皆、彼の生徒になりたがっている。

  しかし彼には直感があった。薛夕のような人物は簡単には同意しないだろう、彼女はきっとすでに非常に優秀な教師がいるはずだと。

  でも華夏に、そんな化学者がいるだろうか?

  化学者……そういえば、何年か前に優秀な人物がいたが、残念ながら狂ってしまった。

  科学者は最後には皆、狂人になるのかもしれない。

  トールがそんなことを考えていると、華夏の受験生たちが次々と出てきた。トールの予想通り、謝瑩瑩、李學凱などの他の受験生たちは、梁甘が華夏の付き添い教師や引率教師と一緒にここに立っているのを見て、近寄って一人一人挨拶をした。

  トールは慈悲深い姿を演出するために、彼らにも笑顔を向け続けた。

  しかし、彼の目は常に出口に注がれていた。そして、突然目を輝かせ、急いで前に進み出した……

  なぜなら、あの赤い髪の少女が出てきたからだ。

  少女は出てくるとこちらを一瞥した。

  こちらに来るように見えたが、トールが一歩前に出ようとしたとき、少女は突然視線を外し、遠くの方へ歩いて行った。

  トール:?