第331章 旧友？

誰も梁甘に注目しなかった。部屋にいる全員が唖然としていたからだ。

明日まで戻ってこられないと言われていたのに、連れて行かれてからたった30分しか経っていないのに？

謝瑩瑩は目を見開いた。向淮が部屋の数人を蹴り倒した様子を思い出し、頭の中で思わず一つの考えが閃いた：まさか、向淮が脱獄したのでは？

彼女がそんなことを考えていると、薛夕の質問が聞こえてきた。「こんなに早く？」

向淮は笑った。「男に対して、早いとは言えないよ」

一同：？

なぜか車の話をしているような気がする？

向淮はさらに一歩前に進み、夜食をテーブルの上に置いた。薛夕に説明するかのように、また全員に説明するかのように言った。「調査の結果、確かに彼らが先に言葉で侮辱したことが分かったので、先に私を釈放してくれたんだ」

一同：？？

みんな再び梁甘を見た。

さっきM国では慎重にならなければいけないと言ったのは誰だ？

しかし梁甘は彼をじっと見つめたまま、「あなたが、向淮？」

向淮は彼女に無理やり視線を向けた。

梁甘の表情が一瞬で変わった。

彼女の驚いた表情を見て、さっきまでの卑屈な態度や叱責された怒りが、この瞬間に一気に爽快感に変わった。

謝瑩瑩は笑って、わざと口を開いた。「梁先生、これが薛夕さんの彼氏です！M国も規則を守る国なんですね！先生が言ったほど恐ろしいところじゃないみたいです」

向淮はその言外の意味を聞き取ったようで、普段はこの集団をあまり相手にしない彼が、自ら質問した。「何を言ったの？」

謝瑩瑩はすぐに答えた。「梁先生が、私たちは試験を受けに来たんだから慎重にしなきゃいけない、衝動的になっちゃダメだって。それに、あなたは今日絶対に出てこられないから、明日保釈金を持って迎えに行くって」

向淮は理解した。この先生は説教しに来たんだな。

彼は再び薛夕を見た。彼女の表情に変化はなく、相変わらず静かで素直な様子だった。そこで彼は直接、皮肉っぽく口を開いた。「申し訳ありません。私が早く戻りすぎたようですね？」

この一言で、梁甘はさらに言葉を失った。

彼女の顔は真っ赤になった！

謝瑩瑩は、さっきまで溜まっていた鬱憤がすっきりしたように感じた。彼女は急いで手を振った。「早くないわ、全然！あなたが無事なら、私たちはもう帰りましょう。邪魔しちゃいけないわ！」