全国には幾つの省があるかと同じ数だけ、高考の状元がいる。
李紫夏と薛夕は共に南方の出身だが、李紫夏の方がより南に位置し、薛夕のいる高考の大省からはまだ少し距離がある。
そのため、李紫夏は自分の省の状元しか知らず、他の省には注目していなかった——結局のところ、一つ一つ注目していたら、30個ほどになってしまうのだ!
それに、薛夕は控えめな性格で、高考が終わった後、学校に戻って写真を撮った以外は、どんな記者のインタビューも受けなかった。そのため、みんなは今年満点を取った人がいて全国を驚かせたということは知っていても、具体的に誰なのかは知らなかった。
李紫夏がそう言うと、薛夕が高考に参加したことを知っている謝瑩瑩は思わず尋ねた。「夕さん、高考を受けたんじゃなかった?どうだった?」
薛夕:「……まあまあかな。」
「まあまあってどのくらいなの?」李紫夏は我慢できずに尋ねた。「華夏大學の合格点に達した?」
謝瑩瑩はこの話を聞いて、急いで話題を変えた。李紫夏がこれ以上聞いて、薛夕の面子を潰すのを恐れたのだ。「夕さん、確か江南省出身だよね?」
推薦入学で高考を受けない欠点はここにある。高考の点数が低いと、人々に話のタネを与えてしまうのだ。
李紫夏も何かを悟ったようで、彼女の答えを待たずに独り言を始めた。「江南省と言えば、今年の省の高考状元が満点を取ったんだって!江南省は全国最大で、試験問題が最も難しいことで有名な省なのに、あの人の頭はどうなってるんだろう。満点だよ、どうやって取ったんだろう?」
劉昭は頷いた。「そう、満点を取った人がいるって聞いて、びっくりしたよ。歴史上、まだ満点を取った人はいなかったんだから!」
謝瑩瑩もこの話を聞いて、思わず同意した。「全科目満点って、本当にすごいね!どの都市の人か知らないけど。夕さん、その人知ってる?」
薛夕は目を閉じて彼らの話を聞いていた。もう11時で、彼女の就寝時間だった。少し眠くなり、はっきりしない口調で答えた。「……うん、知ってる。」
かなり親しい仲だ。
この一言で、他の3人は突然興奮し始めた。そして次々に質問を始めた。「その人はどんな顔?きれい?」
「まあまあかな。」
「勉強がそんなに凄いなんて、寝ないの?ご飯は食べるの?」