軍事訓練が終わるまで、あと数日の時間が残っています。
劉昭は病気を理由に軍事訓練を避けました。これは教官が彼女を困らせることを防ぐためでした。初日に薛夕が軍事姿勢で罰を受けた出来事を、彼女はまだはっきりと覚えていたからです。
彼女はずっと探りを入れていました。
薛夕は確かに、自分に直接関わってこない限り相手の存在を無視するタイプだと分かり、劉昭は賢明にも薛夕に近づかないようにしていました。
謝瑩瑩は薛夕の仲間でした。
そして李紫夏は...どうやら薛夕たちと喧嘩をしたらしく、ここ数日は口を利いていませんでした。
そこで、李紫夏が彼女のターゲットとなりました。
今日は寮に誰もいなかったので、彼女は李紫夏の高価なスキンケア用品を使ってみました。しかし、口紅を使う時に、出した口紅を戻し忘れて折ってしまいました。
彼女は唇の端についた口紅をティッシュで拭き、李紫夏に向かって、相変わらず臆病そうな笑みを浮かべて言いました:「ごめんなさい、わざとじゃないの。私の家が貧しいのは知ってるでしょう?弁償させたりしないよね?」
李紫夏:??
この時、争いを聞きつけた他の寮の人たちも入ってきました。
王薇の寮の四人全員が入り口に立っていました。
王薇はずっと慎重に振る舞っていましたが、教官が彼女のことを気にしていないと分かってからは、ここ数日はずっとリラックスしていました。
この時、その話を聞いて、李紫夏が大げさだと思い:「口紅が折れただけじゃない?くっつければいいでしょう?」
李紫夏も怒り心頭で、すぐに言い返しました:「折れただけじゃないわ、こんなにグチャグチャよ!どうやってくっつけるの?!あなたに元通りにできるの?!」
彼女が口紅を皆に見せると、口紅を出した後にキャップを閉めたため、全体が潰れてしまい、確かにもう使えない状態でした。
王薇は眉をひそめました。
劉昭は口を開きました:「弁償するわ。いくらなの?」
李紫夏は唇を噛みながら、「五百九十八元!」
劉昭の動きが止まり、目を見開いて:「どんな口紅なの、そんなに高いなんて!」
王薇も口を開きました:「この商品は公式サイトで二百九十八元でしょう?なんで値上げしてるの?」