「先輩の席じゃないですか?」
その考えが浮かんだ瞬間、先輩の声が聞こえた。「于達、防いだわね!」
于達:「…………」
彼は固く首を動かし、後ろに立っている先輩を見た。他のメンバーも集まってきて、「于達、すごいじゃない!素晴らしい!」
「マジやばい!」
「こんなトップレベルのハッカーを防げるなんて、信じられない!」
「……」
様々な称賛の声が聞こえ、于達は一瞬ぼんやりしたが、彼の視線は最後列の先輩の席に落ちた。
そこには赤髪の少女が座っており、霞がかかったような瞳で彼を見つめていた。
少女の清冷で美しい顔には、波一つない平静さがあった。
彼女だ。
Xは彼女だ!
この考えに、于達は急に立ち上がり、みんなに告げようとした。これは自分の功績ではなく、薛夕のものだと。しかし少女が突然指を唇に当て、静かにするよう合図をした。