その言葉を言い終えると、彼女は薛夕を一瞥し、前に歩き出した。
二歩ほど歩いたところで、李紫夏に呼び止められた。「待って!」
顧雲卿が振り返った。
李紫夏は背筋を伸ばした。父親に電話をして、どうせ既に敵を作ってしまったのだから、これ以上気にする必要はないと言われ、自分を抑える必要はないと言われてから、李紫夏は顧雲卿と対峙する勇気を持つようになった。
彼女は直接切り出した。「顧雲卿、家柄は親から与えられたものだけど、その後の努力で多くのことは変えられるわ。夕さんは必ずしもあなたより劣っているわけじゃない!物事を決めつけないで!」
かっこよくそう言い切ると、謝瑩瑩は黙って李紫夏に親指を立てた。
李紫夏は顎を上げ、謝瑩瑩にウインクを送った。
そして颯爽と立ち去り、その功績を静かに胸に秘めた。
彼女の背中を見送りながら、顧雲卿は静かに座る薛夕を見つめ、眉をひそめた。
彼女は突然、薛夕が既にそのサークルの部長になっていることを思い出した。そうなると、あの集団に鄧和を説得させることなど、いとも簡単なことだった。
まさか、薛夕は本当に彼女と人材を奪い合うつもりなのか?
顧雲卿は歯を食いしばり、二歩前に進んだ後、何かを思い出したように、ある人物を見つけて小声で何か言った。
その人物はすぐに頷いた。
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この講演は満員だった。
講演開始まであと15分というのに、この大きな階段教室は既に隙間なく埋まっており、席を確保できなかった学生たちは最後列に立って、人々で溢れかえっていた。外では列を作って並び、入れない人々は窓際や扉の外に立って聞いていた。
謝瑩瑩はこの状況を見て感嘆した。「この研究成果、本当にすごいのね!こんなに多くの人が聞きに来るなんて。」
その言葉に、隣にいた人が口を開いた。「君、化学科の学生じゃないでしょう?」
謝瑩瑩は頷いた。「そうよ!」
その人は笑った。「だからそんなことを言うんですね。D-神経酸の研究開発の成功が、化学界にとってどれほど大きな milestone なのか分かりますか?」
謝瑩瑩は首を振った。