化学系の陳院長が入ってきて、入室後、中心の席に座った。
中心には二つの席があり、一つは陳院長の席、もう一つは……
顧雲卿は首を伸ばして外を見ると、鄧和が外の人と話をしているのが見えた。彼女は少し前かがみになって、外の人をよく見ると、なんと薛夕だった。
二人が何を話しているのかは聞こえなかったが、表情を見る限り、うまく話が進んでいるようだった。
顧雲卿の表情が暗くなった。
薛夕は裏口から出たのに帰らず、逆に正面玄関で鄧教授に取り入ろうとしている?この女、なんて厚かましいの!
顧雲卿は拳を握りしめたが、今この場で飛び出していって何かを言うのも適切ではなかった。
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入口で。
鄧和:「お嬢様、今日の講演はあなたがされた方が適切だと思います。」
薛夕:「面倒くさい。」
鄧和:「…………」
鄧和はため息をついて:「では聞いていてください。もし私の説明が間違っていたら、指摘してください。」
薛夕は頷いた:「はい。」
鄧和はようやく手を差し出して:「中へどうぞ。」
そして薛夕の隣にいる、すでに目を丸くして驚いている謝瑩瑩を見て尋ねた:「お嬢様、こちらはクラスメイトですか?」
薛夕は謝瑩瑩を見たが、彼女は大きく目を見開いて自分を見つめ、呆然としているようだった。そこで頷いて:「はい。」
鄧和が口を開いた:「ちょうど最前列に席がありますから、そちらへ座らせましょう。」
「いいですよ。」
薛夕は皆の前を通って中に入った。
彼女が入ると、先ほど彼女を追い出した席の辺りから、どよめきが起こった!
秩序を保っていた学生会のメンバーでさえ、薛夕を見て驚いて、急いで最前列に駆け寄り、薛夕と鄧和の前に来ると、すぐに口を開いた:「鄧きょうじゅ、彼女があなたにしつこく付きまとって入ってきたんですか?今すぐ追い出します。」
彼は薛夕を見て、声を低くして言った:「学生さん、あなたの気持ちはわかりますが、ここは講演会です。鄧教授はめったに来られないのですから、台無しにしないでください。さもないと、学校に申し立てて、処分を受けることになりますよ。」
薛夕は眉を上げた。
その人は続けて:「今すぐ出て行って、反省文を学生会に提出すれば、今日のことは無かったことにします。」
薛夕は何も言わず、鄧和の方を見た。