第502章 一人でお風呂に入れない

学校で。

保健室で、向淮に季司霖との身体的な接触を避けると約束したものの、今は特別な時期だった。

しかも今は、彼女が患者で、彼が医者だから、薛夕は大人しく座っていた。

手を上げ続けるのが辛くないように、季司霖は終始半跪きの姿勢で、丁寧に傷の手当てをしていた。眼鏡をかけた彼は、触れているのがほとんど分からないほど優しい動きで処置を行っていたが、消毒薬が傷口に触れると、やはり心まで痛むような痛みが走った。

薛夕は季司霖も緊張していることを知っていたので、ずっと黙っていた。軍事訓練でもほとんど汗をかかない体質の彼女でさえ、今は額に汗が浮かんでいた。

幸い麻酔が効いて、痛みは和らいでいた。

そうして丸一時間後、やっと手の傷の処置が終わった。全部で十二針縫い、各指に三針ずつだった。