第523章 学力者を頼む！

秦爽は岑白の電話を切った。

二人は見つめ合った。

岑白は秦爽が四人に頼むと聞いて、番組側を断ろうとした。彼女に辛い思いをさせたくなかったのだ。

一方、秦爽は夕さんに無理をさせたくなかった。

あの赤い髪には特別な意味があり、髪を染めることについて触れたくもなかった。夕さんに過去を思い出させたくなかったからだ。

当時、辰にいさんが亡くなった後、夕さんはしばらくの間、本当に落ち込んでいた。

もし向淮が戻ってきて、彼女に寄り添っていなかったら、夕さんはますます寡黙になっていただろう。

その時、秦爽は気づいた。夕さんが彼らに対してどれほど情が深いかということに。

彼女は表面上、薄情で冷たい人に見える。

しかし実際は、外見が冷たければ冷たいほど、内面は情熱的なのだ。

もちろん、これは番組側を責められることではない。『最も美しい女の子』は、ネット配信ではなくテレビ放送で、染髪が禁止されている。特に赤のような目立つ派手な色は。番組側が彼らを困らせているわけではないのだ。

秦爽はため息をついた。「もういいわ」

岑白もうなずいた。「他の学力優秀な人を探すよ」

「うん」

秦爽は大きくうなずいた。

二人が話している時、薛夕が振り返って疑問の目を向けてきた。「どうしたの？」

秦爽は唇を噛んで、突然尋ねた。「夕さん、番組の二百万元必要？」

薛夕は一瞬考え込み、首を傾げて答えた。「お金は必要だけど、この二百万は必要ないわ。何かあったの？」

秦爽はうなずいた。「うん、そうなら、参加しなくていいわ」

大切な夕さんに、自分のために辛い思いをさせたくなかった。

しかも、この件は言えない秘密に関わっている。

秦爽は彼女の赤い髪を見つめながら、辰にいさんが墓から這い出てこない限り、夕さんは一生赤い髪を染め続けるのだろうと考えずにはいられなかった。

赤い髪の夕さんは、決して悪くない。むしろ美しすぎるのだ。

まるでこの世界の人ではないような錯覚を与え、秦爽にとても遠い存在に感じさせる。

そう考えると、秦爽の心が痛んだ。

何を考えているんだろう？

まるで夕さんが翼を生やして飛び立ってしまうかのように。

秦爽は自分の頭を叩いて、うつむいて苦笑した。

薛夕は真剣に彼女を見つめて尋ねた。「どうしたの？」