第524章 TTXD

秦爽は何と言えばいいのか分からず、ただ口を開いた。「夕さんを参加させないわけじゃないの。番組側が許可しないだけなの」

「そんなはずない」その人は明らかに信じていなかった。「こんなに話題性があって、白せんせいを知る優等生なのに。番組側は喜んで参加させるはずよ。嘘をつくなら、もっとマシな理由を考えなさいよ」

秦爽は顎を引き締め、ちらりと横を見ると、夕さんはまだその人と話していた。そこで彼女は小声で言った。「番組に赤い髪の毛で出られないからなの」

その人はさらに可笑しそうに笑った。「じゃあ黒く染めればいいじゃない!かつらでもいいでしょ。そんな言い訳にもならないわ」

秦爽:!!

彼女は焦って言った。「夕さんは絶対に黒く染められないの。髪の毛のことは言わないで。あなたたちには分からないの!」

その人は肩をすくめた。「なんで髪の毛のことが言えないのよ。おかしいわ。まあいいわ、私たちが何を言っても聞く耳持たないみたいだし、そんな変な言い訳する必要もないでしょう。じゃあ、私たち行くわ」

そう言って、数人は遠くを見ながら、わざと小声で、でも秦爽に聞こえるように言った。「華夏大學に入った優等生って、華夏大學にはごまんといるわよ。大したことないじゃない……」

「きっと岑白とドラマを一緒に撮っただけで、だから華夏大學の人たちにもてはやされてるんでしょ」

「それに変じゃない?彼女を追いかけるのは女子ばかりよ。やっぱり男子は彼女のタイプが好きじゃないんでしょうね……」

秦爽は怒りで拳を握りしめ、唇を噛んだ。

もし髪の毛のことを言い出して、夕さんに辛い過去を思い出させることがなければ、絶対に夕さんを番組に出させて、大活躍させて、この人を見下すような連中に見せつけてやりたかった。本当の優等生とはどういうものか、分からせてやりたかった!!

でも残念ながら、そうはいかない。

彼女はため息をついた。

少し離れたところで。

「どうしたの?行くよ!」

誰かが賀郜の肩を叩き、彼はすぐに我に返った。

彼は頷き、やっと視線を戻して、仲間とともにバスケットコートの方へ歩き始めた。

歩きながら、突然立ち止まり、もう一度こちらを見た。

さっき秦爽が言っていた、夕さんの髪は黒く染められない、髪の毛のことは言わないでって……

それは、自分のせい?

赤い髪。