目の前の男は椅子に座り、顔には仮面を付け、全身を隠すように黒いマントを纏っていた。
バックステージは照明が消えており、窓もない場所だったため、真昼でも暗闇に包まれていた。そのため、彼の姿はより一層見えづらく、ただ背中を丸めているのが見えるだけで、年齢は...少し高めなのだろうか?
薛夕は少し疑問を感じながら尋ねた。「全能スーパースター先生?」
「ああ、私だ」
特殊な加工を施されたような声が仮面の後ろから聞こえてきた。低い声で、電流のような機械音が混ざっていた。
一般人には耳障りに聞こえるかもしれないその声だが、薛夕には親しみを感じた。一年の付き合いで、これが初めての対面だった。
普段は平静な彼女の感情に波が立ち、もう一歩前に進んで尋ねた。「先生、ここでお仕事をされているんですか?」