第580章 Xを探せ！

向淮は眉をひそめた。「私は年寄りじゃない」

普段はボスと呼べばいいのに、なぜ老ボスなんて呼ぶんだ？

彼はまだ25歳で、まさに血気盛んな年頃なのに、どうして皆が年寄り扱いするんだ？

普段なら、彼が眉をひそめると、景飛は必ず飛び上がって「怖いです～」と叫ぶのに、今この瞬間、景飛は向淮の言葉に反応する余裕もなく、震える指でモニターの数字を指さしながら言った。「いや、ボス、早く見てください……」

向淮は立ち上がって近寄り、機器の数字が非常に不安定で、2から20の間を行ったり来たりしているのを見た！

景飛は唾を飲み込んで言った。「夕さんの遺伝子はどうなってるんですか？試験紙では高いところから低いところまで、この機器でもでたらめに跳ね回って、夕さんは2なのか20なのか？」

「おかしい、20はありえない。5を超えれば異能が発現して、体が他人と違ってくる。もし20なら、夕さんはとっくに自分に異能があることに気付いているはずだ。それに！これまで誰の遺伝子占有率が20に達したことがある？」

遺伝子占有率はパーセンテージで、20パーセントという数字は恐ろしいほど高い！

景飛は向淮を見た。「ボス、あなたの遺伝子占有率はいくつですか？」

向淮は彼を一瞥したが何も言わず、視線は依然として機器に固定されていた。

一方、景飛は傍らでぺちゃくちゃと文句を言い始めた。「ボス、あなたは当時試験紙で黒赤が出た後、ずっと國際異能協會に連れて行かれて、あなたのデータは全部機密になってますけど、一体どれくらい高いんですか？まさか20より高いってことはないでしょう？」

「だから、夕さんも20なんてあるはずない。この機器も壊れてるんじゃない？」

景飛はそう言いながら機械を軽く叩き、再び見てみると、機械の表示データは相変わらず跳ね続けており、安定する様子がなかった。

景飛は思い切って薛夕の血液サンプルを取り出し、針を手に取って自分の指を見つめ、歯を食いしばって、覚悟を決めて人差し指に針を刺そうとした。

針先が指に触れようとした瞬間、景飛は止まった。「怖いです～痛すぎます」

言い終わらないうちに、向淮は本を取って彼の手の甲を叩いた。

「あぁぁぁ！」