第589話 Xを見つけた！

薛夕と于達が出てきて、二人が階段を下りる時、于達はまだ先ほどの衝撃的な場面から立ち直れていなかった。

三人の偉い人物が、夕さんを争奪するなんて……

毎日行動サークルが解散してから、于達たちは自然と烈焔會に加入し、呼び方も社長から夕さんに変わった。

エレベーターを待つのが遅いので、二人は階段を使うことにした。

一段下りると、于達は思わず夕さんを見つめ、それに気づいた薛夕は突然階段の一段で立ち止まり、冷淡に言った：「何を見てるの？」

于達：「……夕さん、光源機が何か知ってますか？」

薛夕は頷いた：「さっきコンピューターの先生が言っていたけど、チップを作る機械のはずよ」

于達：「…………」

彼は口角を引きつらせた：「夕さん、この技術は現在の華夏では持っていないことを知っていますか？」

薛夕は疑問に思った：「それで？」

于達は口を開いた：「光源機は実は精度が重要なんです。私たち華夏は現在14ナノメートルの精度までしか達成できていませんが、海外では既に6ナノメートルまで達成しています。海外市場を制するためには、もっと精密にする必要がありますが、ご存知ですか？海外でこの技術を持っているのは二つの国だけです。一つはH国、もう一つはR国です。しかし、この二つの国が持っている技術も、複数の国の力を合わせて初めて研究開発に成功したものです。そして、海外のこの技術は、常に華夏に対して独占的な立場を取っています。光源機を研究しようとするのは、個人の力で相手の複数の国と戦おうとするようなもので、ほぼ不可能です。」

劉院長の話を聞いた時、于達は既に、教授たちが夕さんを騙していることを知っていた。夕さんが騙されないように、注意を促そうと決めた。

しかし、この言葉を言い終えると、薛夕はまだ彼を見つめたまま：「それで？」

于達：？？

それなら夕さんは教授たちに、なぜ騙すのかと問いただすべきではないのか？この態度を見ると、もしかして……

于達は驚いた：「夕さん、まさかこの研究をやる気なんですか？」

薛夕は疑問に思った：「なぜダメなの？」

于達：「…………」

于達は口ごもりながら言った：「で、でも……これは不可能ですよ」

薛夕：「海外ができるなら、華夏にできない理由はないでしょう？」

于達：！！