第605章 釈明（2）

秦爽は暫くスマートフォンを見つめていた。

『優等生が来た』の収録時、番組スタッフが特別に彼女に渡してくれた携帯電話のことが、突然頭に浮かんだ。

その時、両親から電話がかかってきて、彼女は興奮して電話に出たが、聞いたのはあんな言葉だった。

それを思い出すと、秦爽の胸が鈍く痛んだ。

彼女はしばらくスマートフォンを見つめていたが、突然ネット上の言論に向き合うのが怖くなった。

彼女はスタッフに携帯を返して、言った。「みんな携帯を見られないのに、私だけ見るのは公平じゃないです。」

スタッフ：「……」

携帯は秦爽に渡されたのだから、見るか見ないかは彼女の自由だ。

しかも今、ネット上では彼女への批判が確かに大きく、見ることで一部の事態は避けられるかもしれないが、確実にメンタルを崩しやすくなる。

彼女がそう言うのを聞いて、スタッフはさっぱりと頷いた。「そうですね。」

スタッフは携帯を回収した。

秦爽はようやく3階の寮に向かって歩き始めた。

夜も更けて、3階全体は月明かりだけが差し込み、階全体が静まり返っていた。

秦爽が歩いている時、突然隣の階段に光が点っているのに気付き、不思議に思って近づくと、許昕瑤がスマートフォンを見ているのを発見した。

この別荘には階段もエレベーターもある。

許昕瑤は階段の段に座り、うつむいてスマートフォンを見ていた。

スマートフォンのウェイボーには、彼女が早早なのかどうかを尋ねるDMで溢れていた。

あの「いつか必ず岑白を手に入れる」と言った有名ファンが誰なのかも分からず、今になっても否定の声明を出していない。

許昕瑤は眉をひそめたが、心の中では密かに幸運を感じていた。

もちろん、この件はいずれバレることを知っていた。

その人がウェイボーにログインすれば、この一連の騒動の発端が分かってしまう。

だから、彼女のメインアカウントでは一度も認めたことがなく、一言も外に向けて発言したことがなかった。事務所も対外的に、許昕瑤は練習中でスマートフォンを見られない状態で、この件について許昕瑤が早早なのかどうかは、番組収録終了後に皆さんにお知らせする、と言っていた。

ただし、許昕瑤が確かに岑白のファンで、白光のメンバーの一人であることは事実だ。