第648章 夕夕、またの縁で会いましょう。

向淮は眉を上げた。

鄭直と景飛の小さなミスが、小さな彼女に直接突破口を与えてしまうとは思わなかった。

前回、彼女が顧雲卿が真犯人で、于達が冤罪だったことを突き止めた時、彼は彼女の知能が本当に高いことに気づいた。

普段は彼に騙されやすいのは、生活の常識が足りないからだ。

こんな人なら、一度チャンスを与えれば、必ず皆を驚かせるはずだ。

向淮は心の中で誇らしさを感じた。さすが彼の大切な人だ、知能は他人より高いのだ。

そう考えながら笑っていると、薛夕がまた口を開いた：「あなたは実は景飛と鄭直を知っているでしょう？」

この質問には答えられる。

向淮は頷いた。

薛夕がさらに追及しようとした時、突然携帯が鳴り出した。

彼女は最初、電話を切って向淮としっかり話し合おうと思ったが、発信者表示を見て少し戸惑った。

彼女は向淮への追及を止め、電話に出た。話そうとした瞬間、相手から優しく心地よい声が聞こえてきた：「夕夕」

司霖にいさんだった。

薛夕は立ち止まった：「どこにいるの？」

季司霖はため息をついた：「別れを告げに電話したんだ。夕夕、君は素晴らしい子だ。この間の付き合いも本当に楽しかった。でも、しばらくの間は会えないだろう。君に迷惑をかけたくないんだ……」

薛夕は彼の言葉を聞きながら、唇を噛んで、最後にゆっくりと口を開いた：「司霖にいさん、たとえ超能力者だとしても、罪を犯していなければ問題ないはず。彼らは公平に扱ってくれると信じています。戻ってきてください」

景飛と鄭直について、小堅物さんは少し嫌な感じだけど、彼らの行動は法律に則っている。

もし司霖にいさんが法を犯していなければ、人々を惑わすようなことをしていなければ、特殊部門は彼を逮捕しないはずだ。

季司霖は苦笑した：「そんなに信じているの？私がやっていないって？」

薛夕はこの言葉に答えなかった。

彼女には、季司霖が何をしたのか分からなかった。結局、司霖にいさんが誰なのかも本当は分からない。ただ孤児院で出会った、彼女と話が合う心理カウンセラーだっただけだ。

季司霖はいつも穏やかで、温かく、兄のように彼女を包み込み、導いてくれた。当時の彼女の人生で唯一の温もりだった。