第662章 覚醒

秦爽は振り向くと、なんと以前からの白光たちで、その中には前回コンサートで会ったお姫様や、他の数人もいた。

彼女たちはトレーニングキャンプに入れないので、外で待つしかなかった。

みんな古くからの友人だった。

秦爽は彼女たちを見て、気分が明るくなり、近寄って挨拶した。「お姫様、みんなどうしてここに?」

「風吹屁屁涼」が口を開いた。「明日から撮影に入るから、私たちで会いに来たの」

秦爽は頷き、嬉しそうに言った。「じゃあ、中に入って...」

彼女の言葉が終わらないうちに、「風吹屁屁涼」は慌てて手を振った。「いいえ、いいえ、私たちは入りません。規則もあるし、それにファンとアイドルは距離を保つべきです。それがアイドルにとって一番いいことなんです」

ファンとアイドルは距離を保つべき。

この言葉に、秦爽の心は沈んだ。

彼女が風吹屁屁涼を見ると、案の定、風吹屁屁涼の目は揺らいでいた。明らかに、岑白との距離を保つようにという暗示だった。

「そう、早早、気をつけないといけないわ。今みんなが、あなたとお兄さんの間に何かあるって噂してるの。私たちはあなたを信じてるけど、他の人は?だから、距離を保つのが一番いいわ」

古参ファンたちは、グループチャットでは皆支持的だったのに、今は...

秦爽は顎を引き締めて、口を開いた。「みんなも、私がアイドルに相応しくないと思うの?」

この言葉に、数人が互いに顔を見合わせた。

そして、風吹屁屁涼が皆を代表して話し始めた。「相応しいとか相応しくないとかの問題じゃないの、早早。もしあなたがまだ早早で、秦爽じゃなかったら、私たちは支持したわ。でも今は違う」

「今のあなたは秦爽よ。もしあなたがお兄さんと付き合うことになったら、お兄さんにとって傷になるし、あなた自身にとってもそうじゃない?」

「これからみんなが秦爽について話すとき、ただ『ああ、岑白の彼女ね』って言うだけで、あなたの名前なんて誰も知らないわ。たとえあなたがドラマに出演しても、みんなはあなたの人気はお兄さんのおかげだって言うでしょう。だから早早、今日お兄さんと食事していた人があなたじゃなかったと知って、本当にホッとしたの」

「早早、今はドラマの撮影に専念すべきよ。こういうことは気にしないで、これからお兄さんに会ったら避ければいいの、大したことじゃないわ」