第669章 戦い!

目の前の少年を見つめながら、薛夕の心は複雑な感情で満ちていた。

超能力者の存在を知っていたとはいえ、小さな炎のような帰還の仕方に衝撃を受けた。

これまで出会った超能力者たちは、景飛のような飛行能力や、馮先生のような脳力開発、さらにはM国のスパイ二人の物を遠隔で動かしたり変装したりする程度だったが、このような火炎操作能力、このような強力な力は薛夕にとって初めての経験だった。

山全体が小さな炎の異能によって温かくなり、気温が数度上昇したように感じられた。

賀郜...いや、高彥辰がゆっくりと振り返り、薛夕に視線を固定させた。その目には戸惑いの色が浮かんでいた。

先ほどの出来事をどう説明すべきか、迷い、躊躇っているようだった。

彼も焦っていた。

もし書類が持ち去られていたら、夕さんの努力が無駄になってしまうところだった!だから異能を使用したのだが、夕さんは彼を怪物だと思うだろうか?