第670章 突然の善意

薛夕の脳裏に浜町での出来事が蘇った。人を救うため、小さな炎が黒服を抱きしめて崖から飛び降りた光景。あの時の小さな炎の眼差しを思い出した。

決然としながらも、諦めきれない表情だった。

まだ復讐を果たしていない、死にたくなかった。でも、クラスメートを救うために、そうするしかなかった……

薛夕の眼差しが次第に固く決意に満ちてきた。突然、振り返って山頂へと再び走り出した。

もう二度と、友を見捨てることはできない。

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薛夕は道中ずっと警戒を怠らず、木々の陰に隠れながら素早く山頂へと向かった。途中、山頂から激しい戦闘音が聞こえ続けていた。

山頂に到着すると、一目で彼らが既に戦闘を始めているのが分かった。

超能力者の加勢により、戦闘シーンは非常に激しく、まるで時代劇のような光景だった。跳躍し、舞い、ただし大半の武器は剣ではなく銃だった。