第673話 飛んで

薛夕は少し躊躇い、不確かな様子で、少し恥ずかしそうに口を開いた:「私の異能は恐らく——」

「學習よ」

一同:???

學習以外に、薛夕は自分のより良い能力を思いつくことができなかった。

確かに彼女は本当に努力家だが、學習能力は確かに他人より優れていて、何でも一度學べばすぐに習得できるようだった。

これが彼女の異能なのだろうか?

ただし、この異能には戦闘力がない。

薛夕は自分の力が強いとか、身体の反応が速いといったことを異能だとは思ったことがなかった。彼女にとって、力が強いのはシーツを洗濯しているからで……

彼女がそう言うと、部屋の中の他の三人は:???

景飛は口角を引き攣らせながら尋ねた:「夕さん、じゃあ、あなたの代償は何だと思いますか?」

代償か……

薛夕は慎重に考えた後、自分の話し方が遅いとも思わず、また感情知能が低いとも思わずにゆっくりと口を開いた:「それだと思います」

「戀愛しないと死ぬ」というのが恐らく彼女の代償だろう。幼い頃からこのこと以外に制限されることはなかったのだから。

しかし、これは向淮との関係に関わることなので、みんなには言わないでおこう。彼らに自分が向淮を愛していないと思われたくないから。

「どれですか?」

景飛は追及した。

薛夕は話題を変えた:「あなたが私たちを助け上げた後、なぜ私は気を失ったの?」

彼女は腕を動かしてみたが、痛みは感じなかった。ただ少し力が入らず、お腹が空いていた。まるで……体力を使い果たしたかのように。

景飛:「…………」

夕さんがなぜ気を失ったのか、彼にも分かるはずがない!

傍らの鄭直が口を開いた:「本当に何も覚えていないんですか?」

薛夕:?

彼女は頷いた:「……はい」

鄭直:「景飛があなたを助けたんじゃない。あなたが自分で飛び上がったんです」

飛び上がった?

薛夕の瞳孔が徐々に開いていき、困惑の色を浮かべた。

鄭直が話し始めた:「あなたは飛行の異能に目覚めたんです」

薛夕:「……」

景飛は逆に嬉しそうだった:「そうです、夕さん、あなたは僕と同じタイプなんです!ハハハ、私たちの特殊部門では、僕以外に飛べる人はいなかったんです。僕は世界で唯一だと思っていたのに、今はあなたが加わって、本当に素晴らしい!」