「違う、これは風船じゃない、明らかに……!!」
薛夕は呆然とした。
隣で薛夕に水を注いでいた向淮が、水を彼女に渡そうとした時、少女の表情が少しおかしいことに気づき、彼女の視線の先を見ると……
向淮:???
間違いなく、今この瞬間、少女の目には怒りと疑いが満ちているはずだ。
昨日は一緒に風船で遊ばないと約束したのに、これはどういうこと?
でも向淮は本当に冤罪だった!
ここは普通の映画館だと思っていたのに、まさかこんなに不真面目だとは!
こんなものまで用意してあるなんて……
彼が心配していると、少女がゆっくりと振り返って彼を見た。何も言わないが、その大きな瞳には非難の色が満ちていた。
向淮:「少女、誤解しないで、これは僕が用意したものじゃない!」
しかし薛夕は依然として彼を見つめ、その目には不信感が満ちていた。昨日、彼がわざわざ言及したばかりだったのに……