薛夕は困惑した大きな目で景飛を見つめた。
景飛は咳払いをして、口を開いた。「方怡だ。」
薛夕は一瞬固まった。
景飛は説明した。「方怡の異能について知っているか?」
薛夕は首を振った。
景飛は言葉を濁しながら話し始めた。「彼女の異能は治療だ。」
薛夕はすぐに理解した。「超能力者が引き起こした傷を治療できるの?」
景飛は頷いた。「そうだ。彼女は医者ではないが、医者以上の存在だ。超能力者が引き起こした傷を治療できる。もちろん、特別な方法で病気も治せる。
夕さん、我々の特殊部門では、誰も彼女を敵に回したくないんだ。その理由はね、みんな犯罪者である超能力者を捕まえに行くとき、自分が怪我をしないという保証はないからだ。
そして、もし超能力者によって傷つけられても、死んでいなければ、腕が折れていても、足を失っていても、彼女なら治療できる。
一般の患者に対しても、特別な治療法がある。
考えてみてくれ。部門の中で親戚や友人がいない人なんているか?誰もが彼女の助けを必要とする時があるんだ。だから、方怡は特殊部門の中で特に人気がある。」
薛夕は納得した。
方怡が戻ってくるとみんなが彼女の周りに集まるのも当然だ。こんな人は本当に役立つ。彼女は言った。「じゃあ、彼女にあの三人を治療してもらえばいいじゃない!」
薛夕は単純に考えていた。
みんな特殊部門の人間で、人類を守るためにここに集まっているのだから、おしゃべりさんが異能で人を傷つけたなら、方怡が治療する。これは仕事の関係だ。
しかし、この言葉を聞いた景飛は口角を引きつらせた。「夕さん、私が来てもらうように言えば来てくれるというわけじゃないんだ。こういうことなんだ。異能の使用は無制限ではない。精神力を消耗するんだ。体力と同じように、ずっと走り続ければ体力が尽きる時が来るように、異能が消耗する精神力は他のものより重いんだ。」
傍で聞いていた秦爽は悟った。「だから異能を使った後、いつも少し眠くなるのか。」
景飛は頷いた。「だから……」
薛夕は常に頭が冴えていて、この話を聞いてすぐに理解した。
つまり、方怡が治療するかしないか、診るか診ないかは、彼女に精神力があるかどうかによるということだ!
そして彼女の精神力がどれくらいあるのか、疲れているかどうかは、すべて彼女自身の言葉次第だ。