鄭直は昔から融通が利かず、物事を感情抜きで処理する人物だった。
今回、方怡に助けを求めたのは薛夕の顔を立てての事で、すでに例外を作ったようなものだった。しかし、秦爽がその好意を理解せず、彼は激怒し、毒のある言葉を吐いた。
秦爽は決して損をする性格ではなく、すぐに反論した。「お願いだって?私には夕さんの失態を見に来ただけに見えるけど?さっきまであんなに凄いって言ってたのに、こんな些細な病気も治せないの?あなたが愚かなくせに、私たちを見下して。ちょっとは頭を使って、なぜ治せないのか考えてみたら?」
秦爽は特殊部門にいた経験がないため、方怡と薛夕の確執を知らなかったが、的確に指摘した。「もし彼女が凄くないなら、あなたたちがそこまで推薦するはずがない。この三人を治せないのは、きっと別の理由があるはず。もしかしたら、夕さんのことが嫌いで、助けたくないだけじゃないの?」
鄭直は秦爽の言葉に一瞬言葉を失った。
男が女と言い争って勝てるはずがない。
以前の薛夕は彼を無視するだけだったが、今日は突然秦爽に反論され、一時的に言葉が出なくなり、胸に怒りが込み上げるのを感じた。
秦爽はまだ気が収まらない様子で続けた。「頭がいいように見えて、本質は偏屈で頑固な馬鹿ね。あなたみたいな裁判官が、どれだけの人を冤罪に追い込んだか。それに、これは私の問題よ。私が刑務所に入ることになっても、あなたには何の関係もない。夕さんは何も言ってないのに、あなたが彼女を非難するなんて許せない!あなたは...」とまくしたてた。
秦爽は自信を失わず、落ち込まないときは常に戦闘モードだった。今も腰に手を当て、同じ言葉を繰り返すことなく、鄭直を5分間も罵り続け、相手がくらくらしそうになったとき、薛夕が口を開いた。「おしゃべりさん、もういいわ」
秦爽はピタリと言葉を止め、おとなしく薛夕の側に寄った。
薛夕が差し出した水を、喉が渇いていた秦爽は一気に飲み干した。「夕さん、なんで止めるの?私はまだ三百回戦えるのに!」
薛夕は「...時間の無駄よ」と言った。
秦爽はすぐに素直に頷いた。「そうね、唾も無駄になるし。頭だけが回転しない人と話すのは疲れるわ」
罵倒されて頭がクラクラする鄭直は??