第756話 私はあなたを信じています

その声に、方怡は驚いて体が震え、思わず入り口の方を見たが、隣の病室から聞こえてきた声だった。

彼女は思わずほっと息をついた。

しかし、その時、彼女は少し固まった。

錢鑫の短気は有名で、あの夜、錢箏が自分の家の前で跪いているのを見た時も、手を出しそうになったほどだ。

まさか、自分の錢鑫への恐怖は、こんなところまで来ていたのだろうか?

方怡は目を光らせ、すぐに視線を落として携帯を取り出し、方明にメッセージを送った:【おじさん、特殊部門の錢鑫への処罰は、決まりましたか?】

方明:【決まったよ。】

方怡は息を呑んで、結果は分かっているはずなのに、緊張しながら尋ねた:【結果はどうでしたか?】

方明がまだ返信していない間に、方怡を見舞いに来た人が口を開いた:「怡ねえさん、本当に大丈夫ですか?錢鑫はボスに最も早くから従っていた人物の一人で、ボスはいつも部下を庇う人ですよ。」

方怡は目を伏せ、突然口を開いた:「特殊部門がなぜこんなに規律が厳しいのか知っているの?」

その人は首を振った。

方怡は特殊部門の古参メンバーだったので、この方面についてよく知っていた。特に、彼女の父も特殊部門で戦死していたのだ。

亡くなった父のことを思い出し、方怡は話し始めた:「実は超能力者は最近になって現れたわけじゃないの。ずっと昔からいたの。そして特殊部門も、向帥が創設したわけじゃない。初期の特殊部門にはこんなに超然的な地位はなくて、警務システムの中の小さな部門に過ぎなかった。人の下に置かれていて、ただの人間の普通の機関だった。なぜなら、人類は自分たちの安全を超能力者に任せることを決して信用していなかったから。後に向帥が特殊部門に加入して、彼の身分が敏感で特殊だったこと、特に彼の父親の強力な支持があって、やっと特殊部門は独立できたの。そして今、特殊部門の地位は完全に向帥の個人的な身分によるものなの。でも実際、人類は早くから超能力者に頭上から押さえつけられるのを望んでいなかった。もし向帥の父親が一人で押さえ込んで、向帥を全力で支持していなかったら、おそらく普通の人々はとっくに反抗していただろうね。」