第761章 向帥が来た(2合1)

会議室全体が静まり返った。

方明は顔全体が赤くなり、熱くなるのを感じながら、薛夕を信じられない様子で見つめていた。

景飛は最初驚き、目を大きく見開いたが、彼以上に驚いていたのは鄭直だった!

鄭直の表情は今や実に様々な感情が入り混じっていた!

薛夕がXだって?

これは天が彼をからかっているに違いない?

これは規則に反している!

Xはあんなにクールな人なのに、どうして薛夕であり得るんだ...まあ、薛夕もかなりクールだけど、Xは男性のはずじゃないか?!

結局、彼がXと連絡を取る時はいつも丁重に「X様」と呼んでいたのだから!

だから、どうしてこの人が薛夕なんだ?

「こ、これはありえない!」

裴任が真っ先に叫び、その場にいる全員の心の声を代弁した。

その言葉を聞いて、驚きながらも心の中で考えていた景飛は、すぐに前に出た:「どうしてありえないんだ?この身分証が偽物だとでも?お前、目があるのか?」

裴任はすぐさま叫んだ:「たとえ身分証が本物だとしても、彼女がXであるはずがない。もしかしたら、Xの身分証を盗んだんじゃないか?!」

景飛は即座に冷笑した:「それはもっと馬鹿げた話だ。身分証には名前が書いてあるんだぞ、それも盗めるのか?それとも、夕さんのこのX身分はボスが偽造を手伝ったとでも思うのか?ボスは常に人には寛容で自分には厳しい人だ。お前はボスが昏君だとでも思っているのか?こんなことをするような人だと?」

景飛は正義感あふれる口調で質問したが、その言葉を言い終わるや否や、彼と鄭直の心の中で同時に答えが浮かんだ:ボスならやる!

夕さんのためなら、ボスは本当に底なしだ。p9の身分証を偽造するなんて大したことじゃない。どうせXは特殊部門に現れないんだから、夕さんにこれを使って今回の災難を避けさせるなんて、本当に厚かましくてダブルスタンダードな良い方法だ!

あ、いや、そんな風に考えちゃいけない、怖すぎる...

景飛は急いで自分の考えを抑え込んだ。向淮についてそんな風に考えるのは、不敬にあたると思った。

裴任も「できる!」と言いたかった!

でも言えなかった。なぜなら向帥は特殊部門において神のような存在だからだ。向帥がいなければ、特殊部門は今日まで来られただろうか?