薛夕たちはまだ会議室で話をしていた。笑笑はお茶の葉を少し噛んでから置き、レモンティーに浮かぶレモンの切れ端に視線を移した。
彼女はしばらく考えてから、やっと名残惜しそうに視線を外したが、突然誰かがカップ麺を作る際に横に置いていた未使用の調味料パックを見つけた。目を輝かせ、さっと駆け寄って調味料パックを手に取り、開けて少し食べると、うっとりと目を細めた。
薛夕:「…………」
錢錚は額に手を当てながら、薛夕に説明した。「笑笑の異能は長期間食事を取らなくても平気なんだけど、代償として食べ物に目がない。食べ物を見ると動けなくなるし、彼女の胃腸は非常に丈夫で、私たちが好まない味も、彼女は大抵好きになるんだ!」
薛夕:「…………」
クロネコさんは機会を見計らって告げ口した。「ある時期、私のキャットフードが理由もなく減っていたの!後で分かったけど、笑笑が盗み食いしていたのよ!猫の食べ物まで奪うなんて、ひどすぎるわ!」
笑笑は唇を噛みながら、ぽっちゃりした頬を可愛らしく膨らませた。「でも、あなたのキャットフードって本当においしいんだもん。ビスケットみたいで、私のビスケットより高いし!」
一同:「…………」
錢錚は思わず笑笑を見て言った。「君にとっては、食べられるものなら何でも好きってことじゃないの?」
「そんなことないよ」笑笑はまた舌を出してカップ麺の調味料パックを舐めた。「みんな、この世界に空腹抑制ビスケットっていうのがあるって知ってる?」
全員が驚いた様子を見せた。
錢錚が最初に口を開いた。「宇宙飛行士が食べるやつ?一個で長持ちするやつ?」
笑笑は首を振りながらも頷いた。「そうでもあり、そうでもない。確かにそのビスケットは一個で長持ちするけど、宇宙飛行士が食べる圧縮ビスケットじゃないの。本物の空腹抑制ビスケットで、爪の大きさくらいの小さなものなんだけど、食べると三日間お腹が空かなくなるの!でも、あれは本当に食べられたものじゃないわ!しかも消化が難しくて、お腹がずっと膨れたままになるの。昔の難民が食べた観音土よりもまずいと思う!」
笑笑はそのビスケットの味を思い出したかのように眉をしかめた。
そのとき、誰かが入ってきて、冷蔵庫から漢方薬の袋を取り出して温め、一口飲んで苦さに眉をしかめた。