笑笑がすぐに口を開いた。「もちろんボスが凄いんですよ!」
クロネコさんが嘲笑った。「ボスの異能が何かも知らないのに、どうしてボスが凄いって分かるの?」
一同:「…………」
錢錚は何かを悟ったようだったが、笑笑だけがまだ理解できていなかった。「とにかくボスは凄いんです。世界一だって認められているんですから!」
クロネコさんはため息をついた。「古来より五行相克があって、大きな氷塊は確かに凄くて、戦闘力は群を抜いているけど、彼にも怖いものがある。それは火。そして火能力者は水を恐れ、水能力者は土を恐れる……要するに、相手のことをよく知っていれば、恐れる必要はないってこと。ボスが全世界から最強と見なされているのは、誰もボスの異能が何なのか知らないからなんだ。」
三人:「…………」
クロネコさんは笑った。「ボスは現在最強の超能力者だという噂は学院から広まったんだ。なぜなら、学院創立以来百年で、ボスは最短期間で卒業した人物だから。しかも、当時学院全体を震撼させたらしくて、誰も外部にボスの異能について話せなかった。当時一緒に卒業した数人だけが内情を知っているんだ。これがボスの凄いところなんだよ。」
クロネコさんが話し終えると、隣の笑笑は調味料を舐めながら感心した。「ボスってマジですごい!」
錢錚はため息をついた。「ボスがそんなに凄いなら、どうして一言で兄を釈放できないんですか?」
薛夕は黙ったままだった。
みんなが議論している時、遠くから称賛の声が聞こえてきた。三人と一匹が一斉に振り向くと、方怡が歩いてくるのが見えた。
周りの超能力者たちが次々と彼女を祝福していた。「怡ねえさん、すごいですね。財務部の総管になられたんですね!」
「怡ねえさん、おめでとうございます!」
「…………」
方怡は皆に祝福されながら、軽く頷いた。「ありがとう。これからも皆さんのご支援をよろしくお願いします!」
「もちろんです!」
方怡は話しながら外に向かって歩き、会議室に着いた時、何かを見たように振り返った。数人と目が合うと、彼女は目を細めた。
傍らで、昨日裴任について錢錚の引っ越しを手伝った超能力者たちが、躊躇いながら口を開いた。「怡ねえさん、錢錚はまだ……引っ越さないといけないんですか?」