第770章 秘密組織

しかし、二人が入り口に立ちはだかり、方怡を見るなり、「怡ねえさん、申し訳ありませんが、ここには入れません」と言った。

方怡は目を見開いて怒鳴った。「私はp10よ。なぜ入れないの?」

二人は咳払いをして目を合わせ、続けて言った。「ボスの命令です。方明の付き添いをお願いします。今後は特殊部門には来なくていいそうです」

方怡:!!

彼女が何か言おうとすると、二人はさらに言った。「怡ねえさん、自分で出て行かれますか?それとも私たちがお送りしましょうか?」

方怡:「……」

周りの人々が皆こちらを見ており、方怡は面目を失ったように感じた。

彼女は唇を噛みしめ、憤然と背を向けて立ち去った。

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方怡はかつて特殊部門で輝かしい存在だったが、今はそれほど惨めな姿になっていた。部門を去る時、周りの人々は彼女を指さして噂し、まるで顔を何度も平手打ちされたかのようだった。

薛夕が外から入ってきた時、ちょうど方怡と正面から出くわした。

方怡は彼女を見て、目に不甘の色を浮かべた。

薛夕がいなかった頃、彼女は争いを避ける態度を装えば向淮の目を引けると思っていたが、向淮は彼女を見向きもしなかった。

薛夕が現れてからは、彼女は自分を偽装するのをやめた。

権力を得れば向淮と対等に渡り合え、より彼の注目を集められると考えた。

しかし彼女は、あの男の心がどれほど暗いものかを忘れていた。

今となっては、自分と叔父が向淮の計略にはまったことに気付かないはずがなかった!

では、いつから始まっていたのだろうか?

錢箏が助けを求めてきた時からか、それとも錢鑫に殺人犯の存在を告げた時からか?

彼女は唇を強く噛みしめた。

景飛の「方明は却下され、ついでに権力を奪われた」という軽い一言は、まるで権力を奪うことが簡単なことのように聞こえたが、実際には向淮と彼の父が内外で手を組み、長い時間をかけて計画を練り、叔父を失脚させたのだと方怡は理解していた!

なにしろ!

叔父は一人ではなく、彼の背後には多くの人々がいた。

彼女の見えないところで、すでに血なまぐさい争いが繰り広げられていたのに、彼女はそれを全く知らなかった。それどころか、その争いに関わる権利すら持っていなかった!

彼女は負けた。

完全な敗北だった。

しかし、このまま諦めるべきなのか?