足音を聞いて、方怡は眉をひそめ、不思議そうに振り返った。
すると、大勢の人々が入ってきて、先頭を歩いていたのは景飛で、その時彼は上機嫌で、目元には喜びが溢れていた。
入ってくるなり、景飛の声が聞こえてきた。「三金、三金よ!いい知らせを持ってきたぞ!……」
そう言いながら曲がり角を回ってきたが、方怡を見るとその場で足を止め、すぐに大げさに胸に手を当てて言った。「おや、怡ねえさんもいたのか。急に見かけてびっくりしたよ。本当に驚いた!」
方怡は眉をひそめ、先ほどの景飛の言った良い知らせを思い出して尋ねた。「どんな知らせ?」
景飛は方怡をちらりと見て、それから錢鑫の方を見てからゆっくりと口を開いた。「ああ、最近給料が払えないでしょう?」
方怡の表情が曇った。
景飛は続けた。「ボスも皆を飢えさせるわけにはいかないから、方明に上層部に資金申請の手助けを頼んだんだ。」
方怡はほっと息をついた。
叔父は必ず助けてくれるはずだ。
上から資金を申請するのも悪くない。
しかしそう思った矢先、景飛が深いため息をつき、錢鑫を見つめながら言った。「これからもし特殊部門の給料が全部上から支給されることになったら、君の財神グループは有名無実になっちゃうね〜!」
錢鑫は即座に背筋を伸ばし、どこからか見つけてきた草の根を「ぺっ」と地面に吐き出して、「それで?」と聞いた。
方怡も緊張した面持ちで景飛を見つめた。財神グループは簡単に手放せる場所ではない。もし今後給料が全て方明から支給されることになれば、それは別の形で財務部を掌握することになる。それでもいいかもしれない。
しかしそう考えた矢先、景飛は笑いながら言った。「いや、結局申請は通らなかったんだよ。それどころか叱られてね。監察部が特殊部門の内部事情に勝手に介入したせいで、特殊部門が今日のような状況になったって。だから!監察部は廃止になった!」
「何ですって?!」
方怡は完全に呆然として、信じられない様子で景飛を見つめた。「今なんて言った?」
景飛は真面目な顔で彼女を見つめ返した。「怡ねえさん、そんなに喜んでどうしたの?叔父さんが退職できるってことで喜んでるの?まあそうだよね、叔父さんもあの年齢だし、もう前線から退いてずいぶん経つし、長年お疲れさまってことだよね。」