この物語は、2993年にモンスター「オムニヴォラックス」が初めて地球に現れ、人類の歴史を永遠に変える破壊をもたらした時代を舞台にしています。
奇妙なモンスターが地球を襲う前の静かな日常。
その夕方、ゲームの音が部屋中に響いていた。
テレビの前に座っているのはトウカ、9歳の男の子。隣には7歳年下の妹、シナがゲームのリモコンを握りしめ、不満そうな顔をしていた。
「ちょっと!なんでいつも負けるの!?全然面白くないんだけど!」
俺は軽く笑い、気楽な顔で返す。
「……」
「ははは…お前が下手なだけだろ。」
「もういい!お兄ちゃんズルすぎ!」
シナはムッとした顔で俺の耳を引っ張り、ゲームのリモコンを投げ捨てると部屋を飛び出していった。
「……」
「おい〜!シナ、待てよ!」
俺は振り返りながら、苦笑いを浮かべた。
【その頃、地球外では15個の隕石が地球に向かっていた。その隕石はただの岩ではない。中には怪物が潜んでいた。
その名は——オムニヴォラックス。】
夜、俺は窓際に座り、夜空を見上げていた。静かな夜だった。カーテン越しに月明かりが部屋を照らし、俺の思考は遠くへと漂っていた。
この幸せはずっと続くのだろうか?
目の前には幸せしかなかった。母さんが隣にいて、妹のシナも無事だった。心配する必要なんてなかった。
すべてが完璧に思えた。
その時だった。俺は夜空を見上げて、空を横切る何かを目撃した。
15本ほどの光の筋がまるで流れ星のように、暗い夜を一瞬で照らした。
「うわぁ〜…すげぇ…」
それを見ながら、ふと父さんのことを思い出した。父さんは宇宙研究者だった。でも何年も連絡が途絶え、突然いなくなったままだった。
***
翌日の午後――破滅の始まり
俺、母さん、シナの三人でリビングで過ごしていた。友達と遊んで帰ってきた俺は少し疲れていたけど、悪い気分ではなかった。
母さんは優しくシナの髪を撫でながら微笑んでいた。
「シナ〜学校どうだった?疲れたでしょ?」
「……」
シナは少し疲れた顔をしていたけど、学校であった楽しい話を夢中になって話していた。
だけど――突然すべてが変わった。
外から激しい衝突音が聞こえた。隕石が落ちた音らしい。その直後、モンスターの咆哮が響き渡った。
外では市民たちがパニックに陥っていた。巨大な体を持つオムニヴォラックスが現れ、ビルを含むすべてを破壊していた。
シナは窓の外を見て震え上がった。
「……」
「な、なんだ…!?何が起きてるんだ!?」
母さんはその揺れを感じ取ると、慌てて俺たちに叫んだ。
「…早く逃げるのよ!シナ…トウカ!」
母さんは俺とシナを裏口へと急がせた。でも、裏口にたどり着く前に、外から爆発音が聞こえ、家全体がこれまで以上に激しく揺れた。壁が崩れ、屋根が落ち、外から火が迫ってきた。
その時、巨大なオムニヴォラックスの影が現れ、その咆哮がさらに大きく響いた。
ガオォォォォ!!
「早く逃げて!…シナ、トウカ!」
母さんはシナの手を強く握りしめ、叫んだ。俺とシナは全速力で裏口へ向かった。だけど、道は瓦礫と壁で塞がれていて、母さんは倒壊した瓦礫に押し潰された。
「……」
「母さぁぁぁん!」
シナは叫びながら、必死に瓦礫をどかそうとした。
「くそっ!」
俺も何かしようとしたが、瓦礫の量はどんどん増えていき、ついにはシナと母さんと俺の間に壁ができてしまった。
「…シナァァァ!」
俺は叫んだ。でも、もう手遅れだった。母さんとシナは同時に崩れた建物の下敷きになった。
その時、エーテルコープの部隊が到着した。彼らは軍隊のような組織で、モンスターの注意を引こうとしていた。
でも、状況はさらに悪化した。エーテルはモンスターの注意を引こうとしたが、次々と犠牲になっていった。母さんとシナを助けようとした者もいたが、成功しなかった。
結局、生き残ったのは俺だけだった。
避難所から俺は崩壊した街を遠くから眺めていた。あたり一面がカオスだった。巨大なモンスターがそこら中にいて、かつてそびえ立っていたビルは跡形もなく崩れ去っていた。
「……」
俺は何も言えず、ただその惨状の前で膝をついた。血がそこら中に広がり、市民の死体が転がっていた。俺は吐き気を感じた。
どうしてこんな時に、俺はいつも頼りにならないんだ…!?どうしてだよ!?
あの日以来、俺の世界は永遠に変わってしまった。
すべてが一瞬で崩れ去った。