第97章 金的玉の断つ脚【第三更】

夏天のこの一手を見て、葉清雪と冰心は完全に度肝を抜かれた。先ほどの一撃は誰の予想も裏切るものだった。二人から見れば、夏天は威風堂々と登場し、手腕を発揮するはずだった。

しかし、まさかこんなに劇的な結果になるとは思わなかった。

一蹴り、夏天はたった一蹴りで相手を倒してしまった。この技は文字通り無敵だった。

この一蹴りがどれほど痛かったか、それは竹下一郎が一番よく分かっていた。この時、彼は故郷で今まさに咲き誇る桜を思い出した。おそらく彼の人生の後半は花と共に過ごすことになるだろう。

「反則だ、あれは反則だ」東方學院のコーチが大声で叫んだ。

「何が反則だ?俺はテコンドーをやってるわけじゃない。彼が俺に上がって来て勝負しろって言ったんだ。でも彼はあまりにも弱すぎた。俺はたった一蹴りしただけだ」夏天は無奈にうなずいた。