第274章 Sランクの殺し屋との戦い

「華夏を見物に行きたいと思っていたところよ。お金をちょうだい。」陌璃は右手を差し出した。

  「このカードには100億ドル入っている。」マフィアのボスは気前よく言った。彼の出費は確かに寛大で、一度に100億ドルも出すのは小さな金額ではない。

  「こんなにたくさんのお金をくれて何のつもり?私を買収しようとしているの?言っておくけど、芸は売るけど身は売らないわよ。」陌璃はカードを受け取ると、そのまま部屋を出た。

  マフィアのボスは仕方なさそうに首を振った。彼は陌璃の性格をよく理解していた。陌璃は決して他人のお金を軽々しく受け取ることはない。一度彼のお金を受け取ったら、後で何か頼み事があるときに陌璃に頼めるようになるのだ。

  「ボス、さすがですね。」情報係が微笑んだ。

  「当然だ。陌璃は人に恩を売るのが一番嫌いだ。私が彼女に一億与えたんだ。これからは何かあったら頼みやすくなる。」マフィアのボスは言った。

  夜、夏天と蠻牛さんは軍営に戻った。

  前回の試合の後、師団長は特別に許可を出し、夏天は第一師団内を自由に行動でき、猛虎特戰隊の訓練に参加する必要がなくなった。

  暇を持て余した夏天は蠻牛さんに武芸を指導し始めた。

  蠻牛さんのカンフーは古参兵から学んだものだった。当時、彼と范進は軍區のゴミ捨て場に罰として送られ、そこに二人の先輩がいた。彼らはその二人の先輩と徐々に親しくなり、その後の日々、その二人の先輩は彼らに武芸、射擊、様々な格闘技を教えた。

  蠻牛さんと范進はそれぞれ一人の古参兵を師匠として仰いだ。

  蠻牛さんは毎日夏天に立ち上がれなくなるまで打たれてから帰っていった。

  しかし蠻牛さんは毎日やって来た。なぜなら、夏天と戦うたびに自分の実力が向上していると感じたからだ。これぞ痛みを伴う喜びだった。

  一週間はあっという間に過ぎた。

  夏天は軍営で多くのことを学んだが、今日は休暇を取った。范進を見に行き、銀針を抜くためだった。

  「大さん、私も休暇を取りました。一緒に行きます。」蠻牛さんは夏天が何をしに行くのか知っていた。

  「じゃあ行こう。そういえば、君たちの女性兵營に沙裡花という人がいるだろう?」夏天は尋ねた。