第288章 1人で170人と戦う

「脅迫だ。あの独眼が錢頭を脅迫している。彼は錢頭が持っている銃がJ銃だと見抜いている。警察は人質の安全を無視できないから、彼は銃を女たちに向けて、錢頭に発砲させないようにしている。」

「くそっ!」錢頭は銃を腰に戻した。確かに発砲する勇気はなかった。少しでも間違えば、責任を負えないからだ。

「お前の人間があとどのくらいで到着する?」夏天は尋ねた。

「30人以上が10分後に到着する。大部隊は20分かかる。」錢頭は淡々と言った。10分あれば多くのことができる。通常なら170人対5人の戦いで、10分もあれば遺体を切り刻んで逃げることもできるだろう。

「十分だ。」夏天は冷静に言った。

「何が十分だって?」錢頭は困惑して尋ねた。

「奴らを倒して、ここを離れるのに十分だ。」夏天は腕と足を軽く動かした。彼は行動を起こす準備をしていた。これだけの人数が武器を持っているのに、小飛さんと范進を参加させれば、彼らは必ず怪我をするだろう。刀は目が無い。もし一撃が正確に当たれば、大変なことになる。

「大さん、私にもできます。」范進は言った。

「師匠、私もいけます。」小飛さんも前に出て言った。

「ここは通路が狭くない。お前たちが参加すれば、一人で同時に20本の刀と対峙することになる。お前たち二人がここで怪我をするのは見たくない。」夏天は一歩一歩前に進みながら言った。「お前たち二人はよく見ていろ。こんな戦いは二度と見られないかもしれないぞ。」

この戦いは先ほどのとは違う。確かに先ほども彼ら二人は一人で十数人と戦ったが、それは一人または二人と個別に対峙したり、最も多くても一人で四人と対峙しただけだった。

一人で四人と対峙するのと、二十人と対峙するのとでは大きな違いがある。

「私の手に何があるか見えるか?」夏天は両手に20本の銀針を持っていた。銀針は細いが、彼は意図的に小飛さんたちに見せた。「覚えておけ。異なる相手と戦う時は、異なる技を使いこなさなければならない。銀針は達人には効果が薄いが、携帯しやすく、不意打ちがしやすいという利点がある。そして自分より実力が劣る相手には大きな脅威となる。同じ一撃で倒せる戦いでも、銀針一本を投げるのと蹴りを一発入れるのとでは消耗が全然違う。さらに銀針なら一度に数十本投げられるが、蹴りは一人が一度に一発しか繰り出せない。」