第297章 10本の賭け

「夏天、一緒に飲もうよ」葉清雪は夏天にビールを投げた。KTVのビールはアルコール度数が低く、小瓶だった。ここの2本は外の1本にも及ばない。

「俺は酒が面白くないんだ。あまり飲めないし」夏天はとてもカジュアルに言った。

「いとこにマウントを取り始めたの?じゃあ勝負してみない?」葉清雪は自分のピンクの拳を握りしめて言った。夏天が本当に飲めないとは信じられなかった。彼女がゲームを提案したのは、夏天に勝って、夏天に飲ませるためだった。

「何の勝負?私も入れて」冰心は東北の女の子で、酒量は葉清雪よりも良かった。彼女はさっき5本しか飲んでいなかったが、今は全然問題なかった。

「トランプめくりはどう?数字が小さい方が1杯飲むの」葉清雪がこれを提案したのには理由があった。彼女の脳の開発は普通の人より進んでいて、十分な時間があれば、各カードが何かを覚えることができた。

今の状況では、夏天は彼女に特別に覚えさせないだろうが、彼女の記憼力なら、シャッフルの瞬間にいくつかのカードを覚えることは問題なかった。彼女はその時、いくつかの大きなカードを覚えればよかった。

まさにこの点があったからこそ、彼女は夏天と勝負しようと提案したのだ。

冰心は葉清雪がポーカーで勝負すると聞いた途端、葉清雪の意図を理解した。彼女と葉清雪の関係はとても良好で、当然葉清雪のその超記憶力のことを知っていた。

特にトランプを覚えることに関しては、二人で何回もやったことがあった。彼女さえも葉清雪にだまされたことがあった。

「勝負だ!お前たち二人は一緒だから、俺が負けたら俺が飲む。お前たち二人が負けたら、お前たち二人から一人が飲む。ただし、一回に1本飲むんだ」夏天は提案した。いとこの自信に満ちた様子を見て、夏天も興味を持った。

「いいわ、約束よ」葉清雪は策略が成功したかのような表情を見せた。

「夏天、あなたの負けは決まりよ」冰心も自信満々に言った。彼女は葉清雪のカード記憶の凄さを知っていた。

カード当てなら葉清雪が勝つ確率はとても高かった。

「まず、あなたがシャッフルして」葉清雪はトランプを夏天に渡した。

「君がシャッフルしていいよ」夏天は非常に紳士的に言った。彼にとってシャッフルには意味がなかったので、彼はとても寛大だった。