「やっと男子が来たわ」先輩の中には感動して泣き出す人もいた。
「そこまでですか?」夏天は困惑して先輩たちを見つめた。
「後輩くん、あなたは私たちの苦労を知らないのよ。私たち二年生の看護系には三千人以上の学生がいるけど、男子はたった十二人なの。平均して二百人以上の女子に対して男子一人という計算よ」その先輩は興奮して話した。
「その比率は確かに驚きですね」夏天は額に汗を流した。
「早く、早く携帯番号、QQ、WeChat、SMN、人人、スリーサイズ、身長など、書けるものは全部書いて!」受付担当の先輩が興奮して言った。
「これも入学手続きの一部なんですか?」夏天は不思議そうに尋ねた。
「うん」全員が同時に頷き、期待に満ちた目で彼を見つめた。
「携帯番号しか持ってないんです。他は使ってないので、携帯番号だけ書かせていただきます」夏天は自分の携帯番号を用紙に記入した。
「これが入学手続きの書類で、これが寮の鍵よ。八号棟の529号室に住むことになるわ。先に部屋の整理に行ってきて。後で時間があれば、先輩が食事に誘ってもいいかしら」受付の先輩は笑顔で言った。
「ありがとうございます、先輩」夏天は軽く微笑んで、その場を後にした。
「ねぇ、前を歩いてる人、四番女子寮がどこにあるか知ってる?」後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。その声の主が誰なのか、夏天は振り向かなくても分かった。あの赤いベンツに乗っていた女性だった。
「前を左に曲がって、路地を右に曲がって、五十メートル進んで左に曲がって、また左に曲がって、それから右に曲がって、三十メートル進んで左に曲がると広場があります。人が多いので、そこで聞いてください」夏天は振り向かずに答えた。
「えっ!」その女性は夏天の答えに一瞬戸惑った。というのも、この答え方があまりにも見覚えがあったからだ。「あなた、また会ったわね!!」
その女性はようやくこの人物が誰なのか思い出した。この人は以前彼女の車に道を教えた人ではないか。夏天を見た瞬間、彼女は怒りが込み上げてきた。
「振り向きもしないのに、私が分かるんですね」夏天は憂鬱そうに言った。