「要らないわ!」部屋の中の冰心は玄関の女性の声を聞いて怒って叫んだ。
「あら、彼女は気が短いのね。今度何かあったら連絡してね」その女性は去り際に夏天に媚びを送った。
夏天がドアを閉めると、ちょうどその時、冰心の携帯が鳴った。
「清雪、帰るわ」
「待っててね、彼に送ってもらう必要はないから」
冰心は電話を切り、夏天は全く訳が分からず、なぜ冰心が帰ろうとしているのか理解できなかった。
「向こうを向いて、服を着るから」冰心は呆然と立っている夏天に注意した。
「ああ」夏天は仕方なく背を向けた。
「銀針を抜いてよ、帰るから」冰心は顔の銀針を感じることはできなかったが、見ることはできた。今から帰るのに、顔に銀針を刺したまま帰るわけにはいかない。
「まだ深い指導ができていないのに」夏天は気まずそうに言った。
「そういう深い指導は清雪のところでやってちょうだい。私は清雪のところに帰って一緒にいないと」冰心は靴を履くと出て行こうとした。
「送っていくよ」夏天も靴を履いた。
「ここでゆっくり休んでて。明日学校に行かなきゃいけないでしょ。私は大丈夫だから」冰心は笑顔で言った。
「心配だから、やっぱり送っていくよ」夏天はまだ心配そうだった。
「私も今は達人なの、忘れたの?誰も何もできないわ。それに清雪のところまで車で5分よ」冰心は夏天をソファーに押し付けた。「ここでおとなしくしていなさい」
チュッ!
冰心は夏天の額にキスをした。
「行くわね」冰心はドアのところで振り返って「警告しておくけど、あんな安っぽい女に近づかないでよ」
「あ、ああ」夏天は気まずそうに頷いた。
冰心はホテルを出て、夏天はベッドに横たわった。10分後、冰心から電話があり、葉清雪のところに着いたと伝えてきた。冰心が無事に帰ったと聞いて、夏天は天醒決の修行を始めた。
一夜はあっという間に過ぎた。
翌朝早く、夏天は起床した。簡単な身支度を整えた後、従姉と冰心のために愛情たっぷりの朝食を二人分買い、合格通知書を持って江海大學へ向かった。
今日は江海大學の入学式だ。
江海大學の至る所に新入生歓迎の横断幕が掲げられ、学生たちで賑わっていた。新入生の一年生たちが一斉に入学手続きをする日だった。