「くそっ!」冰川は夏天に中指を立てた。
「気をつけろよ、俺はお前の義理の弟なんだぞ、そんなことするのはよくない」夏天は照れくさそうに言った。
「ハハハ!」皆が笑い出し、夏天は場の雰囲気を和らげた。
夏天の作戦任務はシンプルだった。相手は必ずX港市と國際安全隊の引き渡し時に、他の五つのDR1をX港から運び出すはずだ。なぜなら、その時がX港の他の場所の防禦力が最も薄い時だからだ。
そのため夏天は上司に最初の引き渡しで偽物を使わせ、敵の注意を逸らし、その間に彼と冰川が別々に行動して、飛行機を使って江海市の密入国港で迅速に迎撃し、その後安全隊との引き渡しに戻る計画を立てた。
距離は遠いものの、ヘリコプターのスピードは遅くないし、空では渋滞もない。
その時はヘリコプターを最高速度で飛ばすだけでいい。
引き渡しで國際安全隊を待たせるわけにはいかないので、夏天たちが五つのDR1を奪回した後、國際安全隊との引き渡しに向かう。その時もまた激しい戦いになるだろう。
これが夏天の全計画だった。
上司はX港市の全警察力を動員した。重案組、捜査大隊など、戦力として使える部隊は全て集められ、対爆部隊、生物化学防護部隊なども含まれていた。
もしDR1が爆発したら、中の毒が広がるのを阻止しなければならない。
全ての港は封鎖されたが、警察力の大部分は国際貿易港に集中していた。今日の引き渡しがここで行われるからだ。この引き渡しのため、世界安全隊と國際安全隊は合わせて三隻の大型船を派遣した。彼らはDR1を無人島に運び、破壊する予定で、化学薬品で島を事前に覆い、毒が海に広がるのを防ぐ計画だった。
國際安全隊のこの種の物質に対する処理方法はこれだけだ。絶対に世の中に残してはならない。
夏天と冰川は一人一丁のスナイパーライフルとサブマシンガン、そして相当量の弾丸を持っていた。彼らは射撃の際に慎重にならなければならない。高空では風速も計算に入れる必要があり、そうしないと外れる可能性がある。一旦DR1に当たれば、彼らは華夏の罪人となってしまう。
DR1には独自の起爆方式があるとはいえ、弾丸が当たった時に何が起こるかは誰にもわからない。一旦中の装置が漏れたり起爆したりすれば大変なことになる。
「義兄さん、そっちの風速はどう?」夏天はヘリの中で尋ねた。