その巨大な鉄棒は中身が詰まっていたが、この男は片手で持ち上げ、しかも非常に安定していた。これだけでも彼の腕力がいかに強いかが分かる。
「お前は必ず負ける」德川二郎は冷たく夏天を見つめて言った。
「その火かき棒で私を指し続けるなら、試合に出られなくなることを保証するよ」夏天は德川二郎を見つめ、獣のような気配が德川二郎の全身を包み込んだ。
殺気!
德川二郎は背中から冷や汗が流れ、思わず三歩後退してようやく止まった。
今の殺気は本物だった。これほどの重い殺気は、一体何人もの人を殺さなければ身につかないものだ。
「よくやった」
德川二郎が夏天に怯えるのを見て、料理人たちは叫んだ。
「あの人、彼に怯えているみたい」上半身の女王様は德川二郎の変化に気づいた。夏天の殺気は德川二郎だけに向けられていたため、他の人々は何の不快感も感じず、何が起きたのかも分からなかった。
「二さん、何をしているんだ?」德川一郎は不満そうに言った。
「ああ」德川二郎はようやく我に返り、夏天を見て言った。「私は点心で勝負したい」
「坊や、教えてやろう。私の弟は牛一頭を持ち上げられるほどの腕力の持ち主だ。その強大な腕力で作る点心は、より強いコシが出る。そして彼の手にある鉄棒は中身が詰まっていて、百斤以上の重さがあり、表面は滑らかだ。これを使って点心を作れば、点心のすべての部分を完全に打ち開くことができる」德川一郎は誇らしげに語った。
彼は意図的に弟の能力をすべて明かした。
彼が話し終えると、全員が驚いて德川二郎の手にある鉄棒を見つめた。
「すごい」料理長の任行は驚いて德川二郎を見つめた。彼は料理人として、点心に最も必要なものが何かを知っていた。正直に言えば、生地をこねる力では德川二郎に勝てるはずがない。德川二郎が後半で失敗でもしない限り、必ず負けるだろう。
「点心で勝負するなら、清水麺にしましょう」夏天は提案した。実は他のものを作りたくないわけではなく、単に作り方を知らなかっただけだ。彼が勝負を受けた理由は、相手の料理の腕前ではなく、手さばきで勝てる自信があったからだ。
先ほどの包丁さばきと同じように、夏天は元々飛刀を使う者だったため、包丁さばきが下手なはずがなかった。