第400章 最高の料理を食べる

上半身の女王様は何も言わず、頭を下げた。自分でも何故頭を下げたのか分からなかった。夏天に見透かされたからなのか、それとも本心ではそう思っていなかったからなのか。

彼女は矛盾していた。

前の二人はすでに対決を始めていた。一人は満漢全席の料理長である任軒先生、もう一人は島國の名シェフ徳川家の長男、德川一郎だった。

二人とも最高峰の料理人だった。

彼らが競うのは炒めチャーハンだった。

チャーハンに必要な米は前日の残りご飯でなければならない。この種のご飯は一般の食堂では見つけにくいが、満漢全席ではとても簡単に手に入る。

ここではチャーハン用に、いつも前日のご飯を用意しているからだ。

任軒先生と德川一郎は、それぞれ華夏と島國の食文化を代表していた。

任軒先生の技は完璧で、見物人たちを驚嘆させた。夏天も目を見張った。彼は本当に見識を広げた。チャーハンをこんな風に作れるとは。

材料は全て同じだが、作り方と技法は全く異なっていた。

「すごい」と夏天は称賛した。

德川一郎も負けてはいなかった。チャーハンとはいえ、彼の技術は任軒先生に劣らなかった。

10分後、二つのチャーハンが完成した。

二つの金色に輝くチャーハンを見て、周りの人々は皆よだれを飲み込んだ。彼らは全て見ていた。一粒一粒の米が卵で包まれている。これこそが本物のチャーハンと呼ぶにふさわしい。金色に輝く二つのチャーハンを見つめながら。

上半身の女王様は目の前のチャーハンを見て、気分が随分良くなった。

彼女はこんなチャーハンを見たことがなかった。まるで芸術品のようで、食べるのがもったいないほどだった。

「食べなよ」と夏天はスプーンを取り、食べ始めた。

周りの人々は皆、夏天と覇王女を羨ましそうに見ていたが、みんな夏天の判定を待っていた。結局、彼が今日の審判なのだから。

夏天と上半身の女王様は止まることなく食べ続け、二人とも食べるスピードを上げていった。すぐに二つの料理は彼らによって平らげられた。

食べ終わった夏天は満足げにお腹を叩いた。

しかしすぐに周りの雰囲気がおかしいことに気付いた。そこで彼は思い出した。自分は食事をしに来たのではなく、審判をしに来たのだと。

「先生、結果はいかがでしょうか?」と德川一郎は期待を込めて夏天に尋ねた。