第431章 全身傷跡だらけ

「笑ったね。警花さんが笑うと本当に綺麗だ」夏天は笑顔で林冰冰を見つめながら言った。

「あなたって、まるで悩みごとなんて全然ないみたいね」林冰冰は涙を拭った。

「いや、あるよ。さっきまで警花さんをどうやって笑顔にしようか悩んでたんだ」夏天は真面目な顔で言った。

「その怪我はどうしたの？」林冰冰は不思議そうに夏天を見て尋ねた。

「どこのことかな？」夏天は何気なく言ったが、その時傷口から血が服を染めていた。夏天の体から血が流れているのを見て、林冰冰は急いで駆け寄った。

「服を脱いで」林冰冰は夏天に向かって叫んだ。

「警花さん、何をするつもりですか？展開が早すぎて、僕にはちょっと受け入れられないかも」夏天は演技じみた表情を浮かべた。

「冗談じゃないわ。服を脱いで、包帯を巻かせて」林冰冰は夏天の部屋に向かった。彼女は夏天の部屋にガーゼと消毒薬があることを知っていた。部屋から持ってきて戻ってきたとき、夏天はまだそこに立ったままで、服を脱いでいなかった。

「脱ぐのよ。さもないと私が脱がせるわよ」林冰冰は厳しい口調で言った。

夏天は仕方なく自分で脱ぐことにした。彼は白いTシャツを着ていて、腕を上げるだけですぐに脱げた。

服を脱いだとき、林冰冰は完全に呆然としてしまった。彼女はそこに立ったまま、夏天を茫然と見つめ、一言も発することができなかった。彼女は幼い頃から、自分と母親を捨てた父親を憎んでいた。

完全な家庭を持てず、人にいじめられることを。しかし後に夏天に出会ったとき、夏天も自分と同じくらい不幸だと感じていた。でも今になって分かった。自分が経験してきたことは、夏天が経験してきたことと比べものにならないということを。

夏天の体に残る傷跡を見て、彼女はまた涙を流した。

「警花さん、また泣いてる」夏天は慌てて手足をばたつかせた。

林冰冰は何も言わず、手を夏天の体に置いた。彼女の手が夏天の傷跡に触れた。夏天の体には銃弾の跡が三十二個、刀傷が十八箇所もあった。

これらの傷跡を見たとき、林冰冰は言いようのない心の痛みを感じた。

「今年おいくつ？」林冰冰は尋ねた。

「もうすぐ十八だ」夏天は淡々と答えた。