帰り道で、方平は南江總督に電話を返した。
修練室では、邪魔されないように、携帯電話などは持ち込まないことになっていた。
電話が繋がると、張定南は特に何も言わず、總督府の張雨強部長が魔都に来ているので、方平に接待してほしいと伝えた。
方平は呆れた。こんなことのために?
南江總督府の部長といえば、地方の高官なのに、魔都に来て接待する人がいないはずがないだろう?
しかし張定南が頼んできたからには、他にも何か理由があるはずだと推測し、深く考えずに承諾した。
……
30分後。
魔武の外にあるカフェで。
方平は張雨強に何度か会ったことがあり、相手は張定南の腹心で、まだ六品には達していないものの、五品頂點の強者だった。
方平を見て、張雨強は感慨深げに言った。「あっという間に、方くんは魔武の武道部部長になったんだな。若き英雄だ。」
「張部長、お褒めに預かり光栄です。」
方平は形式的に応じ、座って周りを見回すと、張雨強一人だけで、他には誰もいなかった。
周囲にも、ほとんど人がいなかった。
張雨強は本題に入らず、軽く笑って言った。「この数日間、魔都は賑やかだったそうだね。全国一級武道大會は方會長が取り仕切ったと聞いたが?」
「張部長、會長なんて呼ばないでください。方平でいいです。」
「はっはっは、そうだな。君も遠慮しないでくれ。親しみを込めて張兄とか、つよしさんとか呼んでくれ。若く見えるしな。」
張雨強は笑いながら答え、方平も遠慮せず、張雨強は南江の高官なのだから、親しくしておいて損はない。
「張兄は今回魔都に来られたのは……」
「一つには南江からも多くの一級武者が武道大會に参加しており、その中には政府関係者もいるので、私が引率して様子を見に来たんだ。
もう一つは……」
張雨強は一旦言葉を切り、小声で続けた。「南江地窟が開くことについて、知っているだろう?」
「はい。」
方平は表情を引き締めて尋ねた。「具体的な時期は判断できているんですか?」
「あまり具体的には言えないが、経験上、12月か来年1月頃だろう。早ければ2ヶ月、遅くとも3ヶ月以内だ。」
張雨強はそう言って、続けた。「以前の邪教掃討作戦に君も参加していたから、内情は知っているはずだ。
地窟が開くとき、それは邪教が最も活発になる時期でもある。