第437章 妖を殺して口封じ

空中にて。

狡はとっくに強者たちの戦いの気配を感じていたが、余計な事に首を突っ込む気など毛頭なかった。

横になれるときは座らず、座れるときは立たず、誰かが生命鉱石を口に運んでくれる、それこそが妖怪の幸せというものだ。

残念ながら、前回の料理人はまた逃げてしまった。

しかし、逃げなくても等級が低すぎて、狡も食べ飽きていたので、今のところ捕まえに行く気はなかった。

傍らの獅子犬が、また鳴き始めた。

狡は完全に無視を決め込んだ。自分の巣が荒らされたわけでもないのに、何を急ぐ必要がある。むしろゆっくりと、相手が戦い終わってから通り過ぎればいい。

二人の強者が去ったと感じなければ、もう少しぐずぐずするつもりだった。

しかし、先ほどハリネズミ獣が倒れた場所まで飛んでくると、狡は突然立ち止まった。なんだか...見覚えのある気配がする。

大きな鼻をピクリと動かし、狡は辺りを見回した。傍らの獅子犬が再び吠えると、狡は二言目には天地の力を叩きつけた!

禁地の王境たちを気にしていなければ、とっくにこいつを飲み込んでいただろう。

獅子犬は血肉を飛び散らされ、思わず悲鳴を上げた。

狡はそれも無視して、突然降り立った。

狡が降り立つと、周囲に集まってきた妖獸たちが一斉に咆哮を上げた。

ここはハリネズミ獣の丘、彼らには自分たちの王がいる!

今、王は敵を追って行ったが、この外来の妖獸の強者が彼らの領域に入ってくるのは、許されることではない。

狡の大きな目に、いらだちの色が浮かんだ。

次の瞬間、狡は突然大きく口を開け、激しく吸い始めた!

周囲の無数の妖獸たちは地面に押し付けられ、体内の気血とエネルギーが絶え間なく漏れ出し、急速に狡の口の中へと吸い込まれていった。

「吼!」

獅子犬の妖獸は完全に怒り狂い、激しく咆哮を上げた。

ハリネズミ獣の丘は、禁地の防壁の境界である。

金角の獣王がここで虐殺し、餌食にするのは、禁地の利益を侵害することだ!

狡の目に凶光が宿った!

もはや我慢の限界に達していた!

統領級に入ったばかりの妖族が、何度も何度も挑発してくる...少なくとも狡から見れば、相手は自分の食事の機会を邪魔し、自分を強制的に禁地へ謁見に向かわせた、これこそが自分への最大の挑発だった!

次の瞬間、巨柱のような太い天地の力が、狂ったように降り注いだ。