誰も立っていなかった。
こいつは悪魔か!
死の気配が部屋全体に広がり、しばらくの間誰も言葉を発することができなかった。
どれくらいの時間が経ったか分からないが、青年の足音が止まると、喬正虎の弟子の一人がようやく我に返り、体を猛然と前に突き出した。腰の短刀を回し、勁気を纏わせながら葉辰の首めがけて切り付けた!
一刀のもと、生きて帰ることはできない!
「誰がお前にそんな自信を与えたんだ?」葉辰の冷ややかな声が響き、次の瞬間、彼は一歩後ろに下がり、そして腕を伸ばして相手の手首を直接掴んだ!
その喬正虎の弟子も明らかに並の者ではなく、足を地面に踏み込み、体を90度ひねり、空中で一回転して葉辰の肩に向かって強烈な蹴りを繰り出した!
「死ね!」
この一蹴りには数百キロの力が込められており、一度命中すれば、目の前のこの小僧を不具者にできる自信があった!
葉辰は口元に笑みを浮かべ、もう一方の手を伸ばして相手の足首を直接掴んだ。
強烈な衝撃が彼の手の中で瞬時に止まった。
その喬正虎の弟子は顔色を変え、瞳孔にも驚愕の色が浮かんだ。
自分の斬雲脚が相手に止められた?
しかも、いとも簡単に止められた。
どうしてこんなことが?
彼が驚く暇もなく、葉辰は突然力を込め、手にしていた男を地面に叩きつけた!
同時に足を高く上げ、一気に踏み下ろした!
「ぷっ!」
一蹴りが下りると、その喬正虎の強者は口から大量の血を吐き出し、そのまま気絶してしまった。
この瞬間、部屋全体が静寂に包まれ、呼吸音さえも聞こえなくなった。
全員が目を見開き、まるで彫像のように、その場に立ち尽くしていた!
彼らの目の前で人を殺す勇気、この小僧はいったいどれほど狂っているのか!
喬正虎が突然立ち上がり、その濁った瞳から殺気が迸った。
体から古武道の実力が急激に上昇した!
「小僧、お前はやりすぎだ。俺とお前には何の恨みも怨みもないはずだ。なぜこのような残酷な手段を取る?」
喬正虎の冷たい声が雷鳴のように響き渡り、弟子たちも態勢を整えた。