「6500万。」
スーツを着たプレイボーイがすぐさま叫んだ。
丁元昌は華夏のトップクラスの宝石職人だった。彼の生涯最後の作品は、天価に値するものだ。
さらに、作品が未完成であることも加わり、その不完全な美しさは、市場価値においてときに完成したネックレスを遥かに超えることがある。
「6800万。」
江城の名高いコレクターである陶元もまた札を上げた。
「7000万。」
夏若雪は耳元で絶え間なく響く声を聞きながら、赤い唇を軽く噛んだ。
彼女は少し悔しかった!
なぜこのタイミングで夏家と決裂してしまったのか!
以前なら、華美グループを売り払ってでも、この星辰の涙を手に入れていただろう。
しかし今は、これを落札するお金を用意することができない。
彼女は無意識に葉辰を見た。本来なら葉辰に助けを求めようと思っていたが、耳元に9200万という声が響いたとき、彼女の最後の希望は消えた。